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黒魔館の惨劇 (ねこ3.4匹)

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友成純一著。光文社文庫

ロンドンの閑静な住宅街にその屋敷はあった。ビクトリア朝様式の外観、美しい庭、
見事な家具。しかし、そこには「何か」がいた。商社駐在員の妻と子、作家志望の青年……
屋敷を借りた日本人はみな、次々と心を病むか、凄絶な死を遂げるのだった。血みどろの
地獄絵図を繰り広げる邪悪な存在の正体とは?(裏表紙引用)

連作ホラー短編集。
光文社文庫新刊、ということで比較的最近の作品かと思いきや。なんと、1991年に
刊行された伝説的傑作だそうで。そして、スプラッターと知らずにオカルト臭ただよう
オサレなホラーものだと思ってうきうきと購入してしまったので「無知ってこわい」と
思いました。。このおそろしい表紙、タイトル、きわめつけに帯文句が
「本物の地獄を見せてあげよう・・」で、何が「オサレ」と思った、だか。と、今となっては
身も縮む思いです。

い、いやしかし、グロシーンはほんの添え物程度で、スプラッターではありませんでした。
ホラーですホラー。はらわたとか出て来た時点でやめようかと思ってましたが、安心しました。
舞台がロンドンで、登場人物が日本人、というのが読みやすかったです。
日本人から見てのエゲレス、という描写が緻密で、なかなか作品にそれなりの味付けを
していると思います。

設定はありきたりかも。海外の怖いものの象徴、と言えばジェイソンと切り裂きジャック
まず連想するのですが、おーっと、コレを忘れてました。定番でしたね。
最初は平凡だな、という印象を持ったのですが、これは構成の勝利、という小説ですね。
全作品、通して読む事によって全貌が見えて来る。毎回挿入される、狂言回しの存在が
生きてます。

しかし、全体的に静かな小説なので、結末を鑑みても、最初に「オサレ」と思った、という
私のインスピレーションはあながち的外れでもなかったかもなー、と強がってみるのでした。