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北の夕鶴2/3の殺人 (ねこ3.8匹)

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光文社文庫。吉敷シリーズ第3弾。


吉敷の元に、5年前に離婚した妻・通子から電話がかかって来た。
ただならぬ問題を抱えた気配だったが、通子は用件を話さない。彼女を追って
上野駅へ赴いた吉敷は、発車直後の「ゆうづる九号」に乗った通子の姿を見つけた。
そして翌日、列車内で通子とおぼしき女性の惨殺死体が発見される!!


ほえ~~。。。この方が通子さんですか。。なんというか、不思議キャラですね。
ブランコって……^^;。
そして、吉敷さんが熱い。熱すぎる。迷惑なくらい熱い。というか人間くさい。
意外と、スタンダードというか昔の熱血男キャラだったのですねえ。前作までは、
個性が抑え気味でクールな男、という印象だったのですが。

うーん、あの、読者としては、ここでの吉敷さんが私情で動く刑事と映ってしまい
(ていうかほんとにそうですが)
なぜこの人が犯人じゃないと思うのか、この人が犯人だと思うのか、という根拠が
弱すぎたような。。「人を殺す人間じゃない」とか「いかにも怪しい」とか、
推理の根本がそこから来てるじゃないですか。。これでいいのでしょうか???
私、通子さんて人知りませんし。


それは横に置きまして。
トリック、凄いじゃないですか!!派っっっ手~~(笑)
うまく行くわけがないし、実行するわけもないのですが(現実なら)
後ろ向きに去る鎧武者だの夜泣き石だの、本格推理ならではの不思議な事件と
結びついていて気持ちがいい!全てが理屈で説明できて、スムーズです。

しかし、それを証明するだけの確かな論証も欲しかった!
その他の警察の考察を否定できるだけのものが。
自白じゃいやですよ私は。よく納得しましたね、モーさん。。

まあミステリとしては楽しかったですが、やはり吉敷&通子の関係が
ストーリーの核だったので、ちょっと読んでて入り込みにくい作品でした。
この通子さんって、女性には好感を持たれないんじゃないかしら。。
そして、最後の吉敷さんの台詞が意味がわからない。
男性のこういう心理を理解しろっていうのはちょっと私には困難ですね。