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ゲームの名は誘拐 (ねこ4.3匹)

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東野圭吾著。光文社文庫


犯人側の視点のみで描かれた、狂言誘拐ものです。
広告プランナーの佐久間は、クライアントの葛城に自信ある企画を潰されてしまう。
怒り心頭で葛城家に赴いた佐久間は、偶然家出しようとした葛城の娘に出会った。
佐久間はゲームの勝利、娘は家への不満。それぞれ違う動機から、
同じ目的の為に二人は狂言誘拐を計画したがーー。


面白すぎました。「ノンストップ」という売り文句が事実である事もあります。

冒頭から主人公の人格を了解させ、物語に惹き込むのがまずさすが。
密に物語と関係ないようで、東野さんが無意味なエピソードを挟むわけがなかった。

終始主人公・佐久間の一人称で物語が進むのに飽きさせない。
主人公二人にはもちろん全く共感できないのに。つまりはストーリー運びがうまいのです。
緻密な計画の進行と、二人の心の距離が近づいて行く様がすごい。
そして、佐久間と同時に時折感じるこの違和感。
こういう事じゃないのか、これは実はこうなんだろう、と可能性を絞り、
「こういう真相で決まりじゃない?」と私が調子に乗り出した頃には
それがもう罠に嵌まっているという。。。
オチもキメましたね。見事。


このサプライズは、私の望んだものではありませんでしたが(物語として)
一応、今後の展開が読めるように書かれています。
うーむ、やっぱり自分は頭が固いのでしょうか。
これが東野さんの本作での狙いですしね。