すべてが猫になる

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直線の死角 (ねこ3.6匹)

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山田宗樹著。角川文庫。第18回横溝正史賞受賞作。


企業ヤクザ顧問を務める小早川弁護士の事務所に、2件の交通事故弁護の
依頼が持ち込まれた。
1件は、加害者は20歳の女性で反省や謝罪の意志がない。
もう1件は、加害者の事後処理が完璧であるが不審な点が見られる。
そんな小早川の事務所に、新たな事務員として有能、聡明な女性、紀藤ひろこが
採用されたがーー。


いつも仲良くしていただいているあまりすさんの記事に触発されて
早速仕入れて来ました。さすがあまりすさんがオススメするだけあって、
スピード感があり、人物も一人一人色付けがはっきりしていて入り込みやすく
一度読み出したら止まらない面白さです。

事件のみならず、恋愛でも読ませてくれます。
小早川の愛した女性に課せられた試練、それを受け入れる小早川の想い。
生きていく上での苦悩と、女性の強さ。設定もそれを描く上で効果を発揮していて
上手ですね。


難点は、想像していたより文章がいいとは言えなかったことですね。
自分の苦手な、会話でストーリーを進めるタイプです。その会話がテンポがいいので
マイナス要素としては弱いですけど。
中盤から展開が減速して行ったのも残念。最初の事故を最後までひっぱるか、
いっそ無くても良かったのでは。ただでさえ、詰め込みすぎた感があるので。。
展開もベタといえばベタ。
犯人が、救いようのないほどの悪人ですからね。多少、愚かな人間なりの
事情とか、良心などをかいま見せてもらえたらもっと深みが出たかも。
これでは、犯人には「ふざけるな」としか言いようがない。


しかし総合的にはとても私好みです。ベタ大好きですから。
門松さんめちゃくちゃ渋いです。シリーズ化されていたら読む決意は固まっております。


あまりすさん、どうもオススメありがとう。
とても面白かった。