すべてが猫になる

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塩の街 (ねこ3.4匹)

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有川浩著。メディアワークス電撃文庫。第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作。


何年後の世界だろうか。塩に埋めつくされてしまった時代。崩壊寸前の社会で
暮らす秋庭と真奈。二人は全くの他人。
支え合って生きる二人の前を通り過ぎるさまざまな事情を抱えた人々。

そして、「世界を救ってみないか」ーーーそう唆す謎の男の出現。二人の恋と、
運命の行方はーーーーー。


純愛小説とすることに重きをおけば満点の作品。
塩害に立ち向かい世界を救うそして登場人物達は
成長して行く、その点が不完全燃焼だったことに不満を並べても構わないけれど
メインテーマがそれではなかったのでしょう。
塩害という設定も、あくまで二人の主人公の大恋愛の脇役だとするなら
まるで新感覚の文学的SF恋愛小説として高ーい評価をしたい。


しかし、後半、武器三曹の女性が登場したあたりから入江のキャラが死んでしまった気がする。
女性のキャラが魅力的でストーリーを動かすコマになりそうな予感がしただけに、
たったあれだけで完結してしまうのも肩すかしだった。
あくまで主の物語は秋庭と真奈だということか。

真奈の慈悲に満ちた天使のようなキャラはどこのオ○クの理想を具現したんだか、
というくらいありえないが作者は実は女性ということなので許しましょう。

一人の人間を献身的に愛する気持ち、というのが万人に向いているのならば
キャラ設定なんて「たかが」ってなもんです。