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幻獣遁走曲 ー猫丸先輩のアルバイト探偵ノートー (ねこ4.4匹)

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創元推理文庫


猫丸先輩シリーズ、短編集第2弾。
5編収録の連作短編集でございます。


傑作集と言っても過言ではないでしょう。
ここに収められている作品はどれも猫丸先輩の魅力が100%詰まっております。
以前から、けったいなアルバイトをする人だなあ、とは思っていましたが
今回はその「けったいなアルバイト」勤務中に起きた、猫丸先輩の活躍譚。

幻獣の捜索員、奇妙な松茸狩りのガイド、デパートの子供向けショーの怪人役、
果ては新薬実験モニターまで。何でもやります猫丸先輩。

人柄で事件を解決する人だなあ、とは最初に猫丸先輩と出会った時に感じたこと。
事件そのものが些細ではあっても、当事者にとっては大事件。
単に聡明なだけでは見落としてしまいそうな、
その対象は、ある時は子供、ある時は老人、ある時は動物。
「たたかえ、よりきり仮面」では、もう一人の登場人物がなかなか筋の通った推理を
披露しながらも的を射ずだったのは、猫丸先輩にあるものが他の登場人物にはないからーー
だと思ってしまった。

こういうキャラは物語上でしか成立しないのは分かっているけれど。
説教でも助言でも指導でもない方法で教えられることがある他人、というのは
そうそういるもんじゃないと思う。

側にいて、友達になりたいなあと思わないわけでもないけど、
自分にとって猫丸先輩は実在しなくとも十分眩しくリアルだ。