講談社文庫。
えーと、シリーズ何作目の長編でしょうか。占星術→斜め屋敷→異邦→本作、で
いいのかね?かね?
もの凄い大長編です。文庫で1000円近くします。ひぃ。
樹齢2千年の楠の木が人間を呑み込む。いきなり怪奇的な謎から、
人為的な殺人ではないかと予測がつくあたりまで、童話風の語り口調と、
御手洗潔が謎に挑む現代とで淡々と展開。
女優の松崎レオナが登場。
急に常識人に戻る魅力のない御手洗さん。
乱歩と正史の手法がところどころに見えて、なかなかファンとしては楽しかったです。
しかし、雰囲気や設定が十分楽しめただけで、トリックはどうざんしょ。
相変わらずのアクロバティックな奇想トリックではあったのですが、
本作のコレに限ってはちょっと、どこかで見たような無茶っぷりと(家の秘密とか)
偶然性に頼りすぎた感が目立ち過ぎていただけませんでした。。
10回中、1、2回しか成功しないんじゃないか?というトリックなら自分は
可能性、運という点でアリだと思いますが、心理的に疑わしく、実質的に困難であり
想像が追いつかないトリックはあまり良いとは思えません。
設定や手法なら先人に倣うのも良しだと思いますが、
ことトリックに関して、島田さんには独自のオリジナリティが欲しい。
反論よさあ来い。(こら^^;)