すべてが猫になる

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春期限定いちごタルト事件 (ねこ3.9匹)

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米澤穂信著。創元推理文庫

高校一年生の小鳩くんと小山内さんはいつも一緒。でも、決して恋愛関係ではない。
「目指せ、小市民の星」を合い言葉に、つつましく生きるーーーが、
事件が次々と二人の前にーーー。


連作短編集。
本作が、著者本デビューの私。某ブログにての「ライトノベル」という紹介文を見て
一旦引いたものの、その後に続く「大空翼のようにさわやかでも、キン肉マンのように
ドジでもない」という一文で立ち直り、果ては仲良くさせていただいてるsae姉さんの
お気に入りともなれば読まずにいられようか。いや、ない。(反語)

このさわやかな表紙をためらいなく手に取り、20時以降2割引で購入。(どうでもいい)
さあ、どうだ!?(びくびく)
ぱらり。
……………。
こ、これはいける。。。。というか、書き出しが面白いかどうかでその本の評価が
80%位決まってしまう自分。本作は、最初の2行で見事にひっさらってくれました。

どんな過去が二人にあるのかはわかりませんが、(そもそもたいしたことなさそう^^;)
主人公二人の無理したシニカルさ!(笑)ほんとは喜んでるんじゃないの?という
いっぱいいっぱい迷惑ぶってる感じがたまらない。
そして、頭は切れるものの印象は「普通の小市民」の範疇。なのに、
「小市民を目指せ」もないもんだ。デリケートだなあ、小鳩くんは。
そういうセリフは、安藤直樹ぐらいの域にいってないと言えないよ。
最後に明らかになったようななってないような二人の過去、も痛快。


人が死なないミステリなので、体裁としては「日常のささいな事件」系。
というより、「君のささいな事件」。ココアの入れ方とか、どうでもええがな。
というような謎がほとんど。
ミステリとしては弱いのですが、自分は一つも正解しなかったので
弱いとか言えた義理じゃありません。ただ、「解けそう」と思い、挑戦してみたくなる
レベルでした。見事にハズしまくりましたが。。。

あとは、連作として全てにつながっている「いちごタルト」事件が、
「いちごタルト」である必然があんまなかったですね。
そういやあのタルトどうなったんだろ??

お笑いを基盤としたコメディミステリやネタや会話が主流のコミカルな小説は苦手ですが、
こういうほのぼのしつつも毒があるようなものは大好き。(うす~~い毒ですが)
「読まず嫌いで得るものはなし」。


まあ、全体的に気に入ったということです。
そうなると、私の行動パターンは決まってます。
早速全ての著者の作品をネットで注文しましたとさ。