すべてが猫になる

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BG、あるいは死せるカイニス (ねこ3.7匹)

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石持浅海著。東京創元社ミステリ・フロンティア


生まれた時の性別は全員女性、後に優秀な人物のみ性転換して男となるという
奇特な世界。

遥の姉は、学校で性転換候補の筆頭だった。
天文部の合宿の夜、その姉が何者かに殺された。やがて、校内で次々と
被害者がーーー。
誰からも愛されていたはずの姉は何故殺されたのか?


個人的に、石持さんの評価が180度変わった記念すべき作品になりました。
別にこういう特殊な設定が好きなわけじゃないことは自分の名誉のために
申し上げておきますが^^;。
ほとんど設定を知らずに読み始めたのでびっくり。(あらすじをあまり先に読まないんです、私)
「レイプって普通、女が男を集団で襲うものでしょ?その逆なんてあるの?」
なんだこりゃ!!!!!!!(爆笑)^^;
毎回、掴みをハズさない人ですね、石持さんは。。。


設定こそ万人受けしないものの、論理ということなら間違いなく本作がトップだと
思うのですが。。。特筆すべき矛盾点や無理がなかったですし、そんな眉間に皺を寄せて
読まなければいけないほどややこしくもありません。いや、むしろ、分かり易い。
そして、氏の作品で毎回感じる心理的な矛盾や、登場人物の嘘くささがこの設定では
いい方に作用するんですね。

設定が奇抜ながらも、自分のいる世界をそのままこの作品に移し替えることが可能。
この世界に自分がいたらそうするよな、という目線で読めるのです。
逆に言うと、この設定にしなくてもミステリとしては通用するということかも
しれませんが。。。

このSFばりのラストシーンも、してやったという感じで爽快。

決して斬新でもものすごく意外な展開でもありませんが、
これは問題作ではなく、意欲作だと思いたいですね。

まあ、ファンにはなりませんが。。。。。^^;