すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

鉄鼠の檻  (ねこ4.2匹)

イメージ 1

京極夏彦著。講談社文庫。

忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた者―骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。謎の巨刹=明慧寺に封じ込められた動機と妄執に、さしもの京極堂が苦闘する、シリーズ第四弾。(紹介文引用)
21.8.28再読書き直し。
 
百鬼夜行シリーズ第4弾。1340ページ強の大作、寝転がって読めない外に持って行けないレンガ本。しかしこれがサクサク読めちゃうのである。初期に比べ、文章が平易に開けて来ている気がするせいかな。薀蓄以外。
 
今回は珍しく京極堂が関口君のお家へ出向き、妻ともども箱根旅行にお誘いするというなんとも萌えな展開。京極堂はお仕事なのだけども。嬉しそうな奥様方が読んでいてこちらも嬉しい。どうでもいいが、雪絵さんは関口君のことをタツさんと呼んでいるらしい。ほほお。別件で、箱根の旅館(?)に取材でやって来ていたあっちゃんと鳥口くんがお坊さん殺害死体を発見しちゃったものだから、コッチとアッチがくっついてまたわやわや。成長しない女児の怪異もあり。とにかく坊さんが次々とケッタイな姿で殺害されるので、なにがなんだか。お便器に頭から突っ込まれていた坊さんには目を剥きました。。きたな。。。
 
この超大作、ほとんど禅についての薀蓄が語られているのでかなり理解が難しい。再読しても同じぐらい分からなかった。。しかしつまらないわけではない。お坊さんたちの煩悩や意外な人間関係も判明し、彼らの過去や思惑がどんどん明らかに。分かりやすい動機ではないけども、分かりやすかろうと殺人は殺人。いけません。しかしこういうところで人生何十年も暮らしていると、この時代、狂ってしまう人間もいるのでしょうな。悟りとかよくわからないけども、それを信じている人を馬鹿には出来ないかなと思わせる何かがこのシリーズにはあるのであった。
 
長い割に京極堂の活躍や関口君のウツ語りは少なかったけれど、個性のきつい警部補(山下)が最終的には憎めなかったり、鳥口くんが大怪我をしたりと(誰のせいえのさんのせい)色々詰め込んだ作品でありました。