すべてが猫になる

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結婚のためなら死んでもいい  (ねこ3.7匹)

南綾子著。新潮文庫

わたしはね、55歳になったあんた自身、そして今でも独身だよ――。 彼氏なし、売れない小説家の「わたし」は、勤め先のエレベーターの片隅に佇む女からそう告げられる。気迫に満ちた未来の自分に促され、死に物狂いの婚活を開始するが。自分語りが大好きな皮膚科医、24歳のかわいいDJ、趣味は合うほぼ童貞のSE……。<運命の人>は実在するのか。過激で赤裸々で切ない10年を描く実録小説!(裏表紙引用)
 
三時のヒロインの福田麻貴ちゃん主演の連ドラ、「婚活1000本ノック」の原作本。ドラマは気になりつつ見損ねてしまったのでこちらを。ただ14年に発行された単行本を改題し、全面改稿されたため元本とは全く内容が違うらしい。ドラマとも違うのかな?どこまで本当かは分からないが、作者の実話8割嘘2割みたいな実録本らしい。まあでもヒロイン(作者)がぶっ飛びすぎていて、未来の「わたし」なんていうファンタジー要素も盛り込まれているのでほぼフィクション感覚で割り切って読んだ方がいいかも?だって本当にこんなヘンな男いるの??と疑ってしまうぐらい、ヘンな男展覧会だったんだもの。マッチングアプリだから?
 
まあ文体はコミカルだしギャグセンスもかなりあって、同時に悲壮感やシリアスなテーマもありでなかなか面白かった。ヒロインの悲壮感や過度な自虐は同性として目を覆いたくなる部分も多いが、いい年して彼氏も夫もいない女は恥ずかしい、自分を好きでいてくれる男が一人でもいるかいないか女はそれだけが大事などという、マウンティングや女性差別大好きな人間たちの雑音など気にせず、自分を大事にして楽しく生きて欲しい。……という至極当然のことに10年もかけてやっと気づく、愛すべき女性の物語。かな。