すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

毒入り火刑法廷  (ねこ4.2匹)

榊林銘著。光文社。

数十年前、突如現れた“魔女”――箒に乗って空を飛び、黒猫に化けることができ、近くにいる人の感情を操ることができる存在。文明社会の秩序を脅かす魔女たちを取り締まる司法が“火刑法廷”であり、この裁判で魔女と認定された者は火炙りとなる。ある日、空を飛行したのでなければ不可能な死亡事件が起こる。魔女と疑いをかけられた被告の少女カラーをじっと見つめるのは、被害者の義娘となる予定だったエリス。エリスは知っていた。あの夜、本当は何が起こっていたのかをーー(紹介文引用)
 
「あと十五秒で死ぬ」ですっかりファンになった榊林さんの2作目。本作は魔女裁判をテーマにした長編ミステリで、ファンタジーっぽい特殊設定の効いた作品となっている。
 
ファンタジーと言ってもロジックは論理的で、犯罪を犯した者が魔女であるか否か、それだけを証明し魔女であればその場で火炙りという緊張感溢れるミステリー。主要キャラの1人オペラは火刑審問官。対する魔女(と疑われる)たちや弁護士たちとの対決が次々と繰り広げられる。読者は魔女たちが魔女であることを知っていながらどう詭弁を労して火炙りから逃げ切るかを楽しみつつ、決して間違っていないオペラ側もさりげなく応援――そういう構造になっている。どちらに肩入れしても面白いと思う。
 
キャラのほとんどが女性だが、数人「俺、僕言葉」だったりするので紛らわしいかも。。それは1人だけにして、キャラの差別化をして欲しかった。が、まあマンガっぽくてそこはいいでしょう。結構みんなカッコイイので。ずっと裁判を繰り返すのかと思ったら途中で主要キャラたちがとんでもないことになるし、そこからまた事件が混乱して膨らんでいくのがアツかった。特に終盤はドラマティックで過激。ミステリーの楽しみと派手な演出と両方楽しめるかな。結構頭使うけど、すごく面白かった。