すべてが猫になる

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地雷グリコ  (ねこ4.4匹)

青崎有吾著。角川書店

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。 平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。(紹介文引用)
 
青崎さんの新刊。
これは面白かった!!頭脳明晰な女子高生が、様々な相手と誰もがやったことがあるゲームに一味加えたもので次々対戦していくお話。5編収録。
ストーリーはあるにはあるのだが、ゲームに特化した小説なので簡単に説明だけを。
 
「地雷グリコ」
じゃんけんをして勝ったほうが「グリコ」「チョコレート」「パイナップル」の字数分階段を上がることができ、先にゴールした方が勝利という、誰もが1度はやったことのある子どものころの遊び。これに両者が地雷を設定し、被弾やミスによるペナルティがつく。
 
「坊主衰弱」
花札ゲームの「坊主めくり」に神経衰弱の要素を含めた特殊ルールを設けたもの。<男二枚>は手札にでき、<姫二枚>は総取り、<坊主>は一発アウト。
 
「自由律ジャンケン」
通常のグー、チョキ、パーにそれぞれが考案した<独自手>を加えるじゃんけん七回勝負。独自手は事前に開示され、特殊効果をつけることができる。
 
「だるまさんがかぞえた」
「だるまさんがころんだ」に新ルールを追加。<標的>と<暗殺者>に分かれる。かけ声は、毎回同じ文字数とは限らない。事前にかけ声の文字数をメモし審判に入札として渡す。
 
「フォールーム・ポーカー」
手札は3枚で行う。4種類のスートごとに部屋が分かれ、13枚のカードがある法則のもと伏せて置かれている。好きな部屋に入室し、カードを取って戻ってくる。
 
カイジライアーゲームを彷彿させる。
どれもヒロインの射守矢真兎がその容姿から相手に最初舐められるが最後は逆転する、というパターン。いかにゲーム中相手を出し抜きルール内でイカサマをするか、という騙し合いの要素もある。とにかくルールが複雑かつ難解なので、全てを読者が100%理解するのはなかなか厳しいと思う。ゲームの流れや会話をつかんでなんとなくゲームの筋を追えれば大きな問題はないかと。キャラクターはとにかくラノベやマンガチックで、本当に高校生か?と思えるようなバトルが繰り広げられる。時に何千万円も賭けることがあるのでドン引き。まあ派手な方がフィクションは楽しい。
ただ、時折入るエロみや倫理的にどうなのかという罰則が設けられていたりするのは個人的に不愉快だった(これがなければ5匹でも良かった)。読者(特に男性)を喜ばせるユーモアなんだろうけど。まあラノベやマンガならもっとエグイのあるけどね。。
 
まだ2月なので時期尚早だけど、年末のランキング本を席巻するんじゃないかなと予想。今なら手に入りやすいと思うので、気になる方は今年中にぜひ。