すべてが猫になる

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誰も悲しまない殺人/No One Will Miss Her  (ねこ3.6匹)

キャット・ローゼンフィールド著。大谷瑠璃子訳。ハヤカワ文庫。

アメリカの田舎町で貸別荘を営むリジーが殺された。閉鎖的な田舎に外部の人間を呼び込む彼女は、高校野球のエースピッチャーだったドウェインを無理やり夫にした過去もあり皆から嫌われていた。警察は失踪したドウェインが犯人とみて捜査を行う中、リジーが有名インフルエンサーに別荘を貸していたことが判明する。警察が彼女を訪ねると…。どんでん返しの先に待ち構えるさらなるサスペンスの行方は?(裏表紙引用)
 
初読み作家さん。元々ヤングアダルト小説作家だそうで、本書は初めての大人向け小説なのだとか。それでエドガー賞にノミネートされるのだからなかなかですな。
 
本作はちょっと変わった小説で、まずヒロインのリジーが「あなたがこれを読んでいる今、私はもう死んでいる」と語るところから始まる。死者が、しかも何者かに鼻を削がれ銃で頭を潰され殺された女性が語り手なのだから冒頭から一気に引き込まれた。リジーの人生は壮絶で、なんと生まれは廃品置き場。殺されるまで暮らした田舎町カッパーフォールズではその生い立ちから町の人全員に嫌われまくって生活していて、それは逆に町の人気の高い男性と結婚しても変わらなかったっていう。。警察の連中にまで嫌われていて、彼らのリジーへの態度は死者の尊厳なんて言葉は聞いたこともないのかもしれないってぐらい酷い。
 
このリジーが過去を語る章と、刑事が事件を捜査する章と、ある語り手が真実を語る章の3段仕立て。中盤からある真実が明かされてガラっと事件を見る目が変わってしまう。。。と、いうわけで内容を語れるのはここまでとなりました。。
 
まあしかし、接着剤なんてものでごまかされるのって警察のほとんどの人間が差別的で偏見の塊だからからだし、倫理的にまずくてもあんまそっち(警察、真実)の味方をする気になれないな~。誰からも死を悲しまれない人って悲しいよ。自業自得のキャラもいるけど、リジーはなあ。。