すべてが猫になる

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逢魔宿り  (ねこ3.7匹)

三津田信三著。角川書店

雨の日には、読まないでください。 ホラー作家の「僕」に、デザイナーの松尾は昔ある四阿で出会った奇妙な一家の話を語る。山小屋での恐怖体験、障子に映る異常な影絵、宿直中の学校での異変。一家が怪異譚を語るたび、近隣で不可解な事件が起き……。(紹介文引用)
 
5つの怪異譚を小説家三津田信三が小説化した、という体裁の、毎度おなじみ怪談短編集。作家・三津田信三は出てくるけれどもお友だちの編集者やら怪談仲間などは不在。
 
「お篭りの家」
7歳の誕生日まで7日間、田舎の知らない家で老婆と共に過ごさなくてはならなくなった少年。その家には7つの厳格なルールがあって…。
その少年と遊んだらやばいよ~垣根越えたらやばいよ~、と思っても、やばい方やばい方へ進んでいくのがホラーの定番。どんどん家の中に侵食していく「あれ」が怖すぎた。。なんだったんだろうね。ハッキリ説明がないままなのがさらに怖い。
 
「予告画」
小学校の新任教師が担任を受け持った1年生のクラスに、おとなくて友だちのいない、絵のうまい少年がいた。少年が描いた絵が次第に現実となり。。
死を予告した、というだけじゃないあたりがまた。。この少年にとって邪魔な存在がそうなるわけで。最後はミステリー仕立てになっていて、その動機含めうまいなあ、と思った。それにしても、子どもに酷いことをするな。。
 
「某施設の夜警」
新興宗教に関わる不気味な施設で、夜警のアルバイトを担った警備員。彼の体験した摩訶不思議な世界観とは。。
なんか、ある意味レジャーランドのような。色んな部屋があるので、文章以外でもこの世界を見てみたくなった。怖すぎるだろうけど。。最後にちょっとしたサプライズがあるのも三津田さんらしい。
 
「よびにくるもの」
三津田作品ぽいタイトル。法事に訪れた田舎の旧家。香典を置いてくるだけでサッサと帰れと言われているのに、なぜヘンなのと口を利いてしまうのやら。。家系にまつわる怪異ってつくづく不運というか逃れようがなくて気の毒だなあといつも思う。ホラー映画なんかだと、無関係の人間が(だいたいが若いパリピカップル)余計なことをして怒らせて、ってのが多いけど。
 
「逢魔宿り」
「あまやどり」と読むみたい。雨の日に読まないで、っていうのはコレこそがまさにそうなのかな。今までの4つの怪異をいつものように不思議なテイストでまとめた感じ。毎度ながら、こういう作品を発表して読者や我々の身に、、、みたいな味のある雰囲気で終わる。
 
以上。
平均的、っていうかいつもの三津田作品のレベルが保たれていてだいたいどれも怖くて面白い。他の作品と区別がつかなくなりそうだけど。。