すべてが猫になる

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馬鹿と嘘の弓  (ねこ3.9匹)

森博嗣著。講談社文庫。

探偵事務所への匿名の依頼は、あるホームレス青年の調査だった。 彼は穏やかで理知的な人物だが、社会に絶望していた。 調査の目的に疑問を感じながら、探偵が尾行を続けるうちに、 青年の知人の老ホームレスが急死し、遺品から彼の写真が見つかる。 それは依頼人から送られたのと同じものだった。 新シリーズ開幕。(裏表紙引用)
 
新シリーズがとっくの昔に始まっていたことを今の今まで知らなかった、不覚。XXシリーズというらしい。それの第1弾。主人公は椙田から探偵事務所を引き継いだ小川令子と、森シリーズではすっかりおなじみとなった加部谷恵美。森さん、加部谷さんを相当気に入っておられるのかしら。別に好きでも嫌いでもないけど。ちょっとセンチだよね。
 
匿名の依頼者から、ある人物を尾行しどういう生活をしているどういう人物なのかを調査するように頼まれた。その柚原という人物はまだ若く健康で、穏やかで冷静、理知的なのになぜかホームレスをしている。柚原が少しだけ接触したホームレスの元大学教授が突然死したことで謎が深まるが……。
 
海月さんのことを引きずっている加部谷さんが痛々しい。柚原との出会いが心の傷を癒す縁になるかと思って読んでいたが…どうにも悲惨な結末を迎えてしまった。いや、これ森さん加部谷さんを好きじゃないな。いじめすぎ。柚原の人をケムにまく持論は聞きごたえがあるしいかにも森作品に出てくるキャラクターという感じだが、堂々巡りをしているように感じる。間違った社会に一石を投じたかったのだろうか。なんとも衝撃的でうそ寒いシリーズの幕開けである。
 
萌絵は現段階では出て来ません。