すべてが猫になる

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一九六一 東京ハウス  (ねこ3.7匹)

真梨幸子著。新潮社。

六十年前の団地体験で賞金五百万円――って、これ現実!? 昭和と令和が交錯するイヤミス新次元! 賞金につられてリアリティショーに集まった二つの家族。古き佳き時代であるはずの昭和の生活は、楽じゃないどころか、令和の今より地獄の格差社会。お気楽バラエティのはずが、外野も巻き込みどんどん不穏になっていく現場は疑心暗鬼で大荒れの末、まさかまさかの超展開。次々と起こる惨劇は虚構か、現実か!?(紹介文引用)
 
構成作家がテレビ番組リアリティーショーに「令和の家族に六十年前の生活をさせる」という企画を持ち込んだものの、なぜか設定が一九六一年の団地に変更されてしまった。オーディションで選ばれた二組の家族をスズキ、ヤマダと名づけ生活水準にも差をつけ、不倫をけしかければどういう軋轢が生まれるか。テレビ局が悪ノリする中、過去の殺人事件を彷彿させる新たな殺人が――。
 
仮名と実名あってややこしい上に登場人物も多いのでそれだけでリタイアする人結構いそう。昭和の家電や生活様式に翻弄される家族(特に主婦)、という部分はとても面白かったが焦点はそこになく、ヤラセや倫理観も何もないテレビ局のやりすぎ感にひたすらドン引き。ここも頭の中昭和なのか?笑 最後に四転五転して真相や黒幕がページをめくるたびに変わる展開はいつもの真梨さん。もうどういう真相であれそもそもの設定がめちゃくちゃワヤなのでそれほど驚きはないけれど、アッチとコッチとうまいこと繋がって面白かった。