すべてが猫になる

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グレイラットの殺人/Dead Ground  (ねこ4匹)

М・W・クレイヴン著。東野さやか訳。ハヤカワ文庫。

貸金庫を襲った強盗団が、身元不明の遺体と鼠の置物を残して姿を消した。3年後、サミット開催が迫るなか要人を搬送するヘリコプター会社の社長が殺される。テロを警戒した政府はポーに事件の捜査を命じるが、MI5の妨害で捜査は遅々として進まない。天才分析官ティリーが発見したデータのおかげで犯人を追いつめたかに見えたが……。二転三転する状況下でポーが辿り着いた驚愕の真実とは。驚愕のシリーズ第四作。(裏表紙引用)
 
ワシントン・ポーシリーズ(今ではファンはポー&ティリーシリーズと呼ぶ人が多いみたい)第4弾。
 
前作で、ハードウィック・クロフトの建物から出て行けと訴えられたポー。ティリーのおかげでなんとか窮地は逃れられそう。そして007を演じた歴代俳優のマスクを被った男たちが銀行強盗の最中仲間の1人を射殺するプロローグ。さらに3年後、ヘリコプター会社の人望厚き社長が売春宿で惨殺される事件が発生する。2つの事件に共通する「ラットの置物」から事件同士の関連を見つけたポーとティリーだが…。
 
いつも通り相変わらずとても面白い。ティリーはポーの数少なすぎる親友となり、すっかり安定した様子。前回酷い目に遭ったフリン警部がよれよれで出てくるのでそっちはまだ心配。証拠を隠蔽したMI5職員にも厳しいポー。上司の言うことももちろん聞かない。今回はもうポーもティリーもピンチらしいピンチに遭うこともなく、ひたすらティリーの凄腕によって解決した感が。犯人もわりと素直だったし。
 
章が変わると場面が変わる、という小説のほうが多いので、そうではないこの作品は読みやすかった。章の最後の台詞でちょっと引っ張る台詞を言って、次のページではもうその続きのシーンが始まるのでストレスフリー。ページ数はとても多いけど、実質の字数はそれほど多くないと思う。余白も多いので。
 
まあとにかくラストに嬉しい引きもあったし、次作が楽しみ。