すべてが猫になる

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ナイフをひねれば/The Twist of a Knife  (ねこ4.2匹)

アンソニーホロヴィッツ著。山田蘭訳。創元推理文庫

「われわれの契約は、これで終わりだ」探偵ホーソーンに、彼が主人公のミステリを書くのに耐えかねて、わたし、作家のホロヴィッツはこう告げた。その翌週、ロンドンで脚本を手がけた戯曲の公演が始まる。いきなり酷評する劇評を目にして意気消沈するわたし。ところがその劇評家が殺害されてしまう。凶器はあろうことかわたしの短剣。逮捕されたわたしには分かっていた。自分を救えるのは、あの男だけだと。〈ホーソーンホロヴィッツ〉シリーズの新たな傑作登場! (裏表紙引用)
 
シリーズ第4弾。
読めば読むほど好きになる、ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ。ホーソーンのキャラは謎めいていてクールでちょっとひねくれていて手に負えない感じなので最初はあまり好きではなかったが、だんだんプライベートや弱さ、天邪鬼な感じが出てきて好意が生まれてきたかも。ホロヴィッツはよくいるザ・記述者、絵に描いたようなワトスン役なんだけどね。そのホロヴィッツが今回はホーソーンに決別宣言。だけど殺人事件の容疑者にされちゃった、僕を救えるのはあの男しかいない!って手のひら返し。そりゃホーソーンもちょっと意地悪言いたくなるよなあ。それでちゃんと友人の無実を信じて(態度には出さないけど、最後にその内心が分かる)捜査してくれるんだから感謝しないと。
今回の被害者はかなりクセの強い感じで、そりゃいつか誰かに殺されても不思議はない印象。夫や娘までも嫌っているんだからねえ。。さすがにここまで酷い性格だと、社会的にいつかは抹殺されないとって現代の感覚では思う。
容疑者はみんながみんな動機があって、過去に胡散臭い事件が関わってくるっていうのが(そうでないと長々と過去の事件を記述するわけないので)。。なかなかシンプルなザ・本格ミステリーではあるけれど、やっぱり今作も面白くて手が止まらない。