すべてが猫になる

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十戒 (ねこ4.5匹)

夕木春央著。講談社

殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。 浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。 “この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。 犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。(紹介文引用)
 
「方舟」がとても良かったので、これまた話題となっているこちらの新刊も。
 
いやあ、またまた面白かった!クローズド系の孤島ものという定番の設定ながら、現代らしくスマホが通じる状況。それを「3日間、犯人を見つけてはならない」というルールのもと連続殺人事件下の9人が過ごさなければならない。これは新しいね。ほかにも色々ルールはあるんだけど、よく考えられてるな~~って感じ。従わざるを得ない状況。本物の死体がある時点で、信じずに場をかき乱す人間がいないあたりも。
 
彼らが死体の梱包を手伝わされたり、シャワーを浴びさせられたり、犯人を特定できないように細かいルールが定められてるのが面白かった。貝殻の写真とか、被害者のスマホを残した理由とかもほんとによ~く考えられてる。泥を落とした跡や梱包の仕方の犯人のこだわりとか、なぜなんだろう?と思いながら犯人の正体や目的知りたさに読む手が止まらなかった。
 
一応推理する人がいて事件をこっそり探りはするのだけど。。何かあるな、と思わせつつ期待通りの真相にうすうす分かっていてもびっくり。犯人、正義感強いようでいてサイコパスの要素もあるような…?そういうキャラづけもうまい。なんといっても、動機が今回は納得のいくものだった。
 
世間では「方舟」ほどではないけれど面白かった、という評価が主流ぽい。自分は動機の改良も含めてどちらも同点かな。この作家さん読破しよう。