すべてが猫になる

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フシギ  (ねこ3.8匹)

真梨幸子著。角川書店

ラスト10ページ、戦慄のどんでん返し! 作家の私のもとに、死んだはずの担当編集者から不思議なメールが届いた。 意識不明の時に三人の女が“お迎え”に来たというもので、一人目と二人目は亡くなった親族、三人目は誰だか分からないという。 その後、「とんでもない正体が分かった」「三人目の女が、先生のところに現れませんように」という言葉を残して連絡は途切れ……。 三人目の女とは誰なのか? 連続する不審死は、その女が関わっているのか? とてつもない絶望と衝撃に襲われるラストまでページを捲る手が止まらない、精緻にして大胆な長編ミステリ!(紹介文引用)
 
真梨さんの呪い系イヤミス。長編、でいいのかな?一応章ごとにタイトルが付いていて連作短篇みたいな体裁になっているけれど。
 
売れっ子作家の「私」が、新規の出版社ヨドバシ書店から小説を依頼される。私が過去に住んでいたマンションМの401号室には曰くが有り、編集者の尾上も昔その部屋に住んでいたという。今まで住んでいた他の人々は現在どうなっているのか調査したいと言うのだ。その尾上が単身401号室に乗り込み、窓から転落した。1週間後に死亡したが、私のところへ尾上からの不審なメールが再三届くようになり…。
 
主人公が作家ということで、様々な編集者が入れ替わり立ち替わり色々な怪異を体験し、私がその話を聞かされるという感じ。稲荷神社やら霊能者やら不倫やら人毛醤油(ゲーーーーー)やら、不気味だったり下世話だったり、真梨さんらしい世界観。今作も毎度おなじみどんでん返し系だったが、いつもほどややこしくはなく、それでいてスカっと気持ちのいい騙され方をするなかなか読み応えあるミステリだった。出版社内で大量に人が死んでいる理由なんかは今の時代でこそ「有り得る」と思えるものだったし、大仕掛けについても真梨さんの属性だからこそ可能なもの。いやー、面白かった。