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大雑把かつあやふやな怪盗の予告状 警察庁特殊例外事案専従捜査課事件ファイル (ねこ3.7匹)

倉知淳著。ポプラ社

ミステリ小説みたいな事件なんて、現実にはそうそう起きたりしない。 殺人事件の犯人はだいたい怪しい人間だし、犯行現場の指紋を偽装するヤツなんてめったにいない。世に起きる事件の98%は一般的な事件であり、優秀な日本の警察によって早急に解決されていく。 だが、しかし。 2%はそうではない。 この平和な日本でも起きるのだ。密室殺人が。怪盗による犯行予告が。 そうしたやっかいな事件は並の警察官では歯が立たない。いわゆる「名探偵」の力が必要だが、毎回民間人に協力を仰ぐのも警察の名折れである。それならば警察組織にしてしまえばいい! こうして生まれたのが、警察庁特殊例外事案専従捜査課――略称「特専課」――通称「探偵課」。 探偵課に所属するのは民間の名探偵たち。名探偵の例にもれず全員クセがすごい、というか全員めんどくさい。事件が起きると召集され、ずかずかと現場に現れて華麗に解決する。なお報酬は歩合制である。 そんな愉快な探偵課に配属になったのは、警察庁に入庁したばかりの新人・木島。 中途半端な密室、あやふやな予告状、見立てっぽい殺人事件。次々と巻き起こるヘンテコな事件に天を仰ぎながら、クセツヨ探偵とともに今日も立ち向かう。(紹介文引用)
 
あらすじ、長いな(笑)。もう何も書く事がない…。。。
 
ということで、倉知さんの新シリーズ(多分続きそうだから)。表紙カワイイね。クセツヨ探偵勒恩寺が随伴官・木島と共に特殊事件を解決していく!(のか?)
 
「古典的にして中途半端な密室」
資産家の主人が自室で射殺体となって発見される。窓にはトリックを仕掛け「かけ」たままのピンセット、外には倒れた大木。。中途半端すぎる密室殺人事件なのだが、憧れの針と糸トリックにはしゃぎまくる勒恩寺がひたすらうざい(笑)。誰に機会があったのか?を突き詰める推理となっていて、3作中一番推理小説としてまとも。
 
「大雑把かつあやふやな怪盗の予告状」
水産会社の社長宅に届いた日時のあやふやな予告状。怪盗石川五右衛門之助なる人物が、社長の宝物であるブルーサファイアをこの日かこの日かこの日のこれぐらいの時間内に盗むというのだ。探偵・作馬と共に木島は社長邸に乗り込むが…。
勒恩寺おらんのかい(笑)。しかも新探偵の作馬、定時で帰りやがった(笑)。真相は凝っていてだけどありがちだが、わざとありがちな真相を用意して探偵を喜ばせているみたいな。。。
 
「手間暇かかった判りやすい見立て殺人」
「脛切り姫」の見立てのごとく、脛から下だけを切り取られた筋肉男の死体。見立ての理由とは?今作では少年探偵が登場。こいつも途中で帰るんだよな……。。探偵キャラの中では一番まともだと思ったのに。。割に複雑な切断理由と凶器の動線。木島にそのままやんと言われた事件の真相とは。
 
以上。
それぞれ中編のボリュームがあり読みごたえは充分。ふざけた探偵しか出てこないあたり倉知さんらしい。それでいて推理は骨太で、かなり頭を使う。正直字が詰まりまくった解決編に眠くなって眠くなって挫折しかけた。。倉知作品でなかなかないことなのだが。本気で真面目な推理のはずが、「ありふれた」に実は特化した実験的作品かもしれない。まあ、続編あったら読むかな。