すべてが猫になる

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みみそぎ  (ねこ3.6匹)

三津田信三著。角川書店

その怪談を耳にしてはいけない――。最恐の怪異譚が、現実を侵食する。 作家の「僕」のもとに、旧知の編集者・三間坂秋蔵から、あるノートが送られてきた。ノートに綴られていたのは、怪奇を愛した三間坂の祖父・萬造が記したと思われる怪異の記録だった。読むことで障りがあるかもしれない――そう思いつつも一読した僕は、予想を超える内容に戦慄することになる。その理由は、本書を最後まで読んで確かめてみてほしい。本書には萬造のノートの一部と、ノートを読んだ三間坂の身に起こった出来事がまとめられている。もちろん途中で止める自由が読者にはある。(紹介文引用)
 
五感シリーズ…なんだろうか?「のぞきめ」の続編のようなそうでもないような。作家三津田信三のノンフィクション風怪談小説、とでも言えばぴったりくるだろうか。いつもの感じで三津田さんが編集者たちと語り合って、現実に存在する作品や彼らが持ち込んだ怪異をまとめて本にしましょう、という展開。今回は編集者三間坂秋蔵による怪談体験ノートを再現しましたという体裁で、その怪談の中にさらに怪談、また怪談、というメタがメタしたメタ構造となっている。聞いたら絶対後悔する恐ろしい怪談の数々、、ということだが、いつもほど怖いものはなかったかな?それよりも、三津田ファン向けに色々な三津田作品が紹介されるというファンサービス的内容のほうが濃い。
 
「みみそぎ」というタイトルも内容とどう関わるのかよく分からなかった。こういう怪談を聞くと耳を削がれるような体験をするよ、ということか?むりくりこじつけると。てっきり、耳を削ぐ妖怪なんかが出てくるのかと思っていたのでちとガッカリ。怪談ごとにフォントが変わるのは面白かったが。語り終わりの部分から徐々に変わっていくのはいいアイデアだったな。読みにくかったけど。フィクションではあるのだけど、三津田さんがホラー作家としての覚悟を書いてらっしゃるのも良かったな。これを読んでほんとに怪異に見舞われる読者もいるのかも、、。