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遠巷説百物語  (ねこ3.8匹)

京極夏彦著。角川文庫。

江戸末期の遠野で、化け物退治が開幕! 第56回吉川英治文学賞受賞作 。「遠野は化け物が集まんだ。咄だって、なんぼでも来る」 盛岡藩筆頭家老にして遠野南部家当主の密命を受けた宇夫方祥五郎は、巷に流れる噂話を調べていた。 郷が活気づく一方で、市場に流れる銭が不足し困窮する藩の財政に、祥五郎は言い知れぬ不安を感じる。 ある日、世事に通じる乙蔵から奇異な話を聞かされた。 菓子司山田屋から出て行った座敷童衆、夕暮れ時に現れる目鼻のない花嫁姿の女、そして他所から流れて迷家に棲みついた仲蔵という男。 祥五郎のもとに舞い込む街談巷説、その真偽は――。  〈巷説百物語〉シリーズの集大成!(紹介文引用)
 
巷説百物語シリーズ第6弾。11年ぶりなんですってね。<集大成>とあるからには、最終巻なのかな?終わり方も綺麗だったし。一応前作読破しておるのだが、分厚い上に怪談がたくさん収録されているので感想は書いたり書かなかったり。今作は分厚いのは分厚いが6作収録だったので疲れた分充実した読書だった。たくさん入ってるスタイルも好きだけどね。
 
本作は江戸末期の遠野が舞台。タイトルは<とおくの巷説~>と読む。どのお話も構成は決まっていて、まず古語調の怪談<譚>が掲載されており、次に主人公である武士(御譚調掛、エライ人に民草の噂や話を聞かせる役目)大久保祥五郎が友人の乙蔵(物知り、咄売り)に会いに行き様々な咄を聞く<咄>と続き、本編ともいうべき<噺>ときて、最後に仲蔵(迷家住人、ものづくり)のネタバラシ<話>で締めくくるという体裁。前作で出てきたキャラクターが数人、違う役割で出てくるのが楽しい。ファン人気の高い又市も登場、さすがに思い出した。
 
怪談は<お歯黒べったり><磯撫><波山><鬼熊><恙虫><出世螺>。もろに怪談っぽいものあり、遠野の現状が招いた災厄あり、ムシありとバラエティに富んだ内容。最終話では祥五郎や乙蔵、迷家のお花や志津、又市や柳次などなど全員集合して、今後の身の振り方など未来に向けての前向きな姿が描かれている。これで終わりなのかなあ。。