すべてが猫になる

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化石少女と七つの冒険  (ねこ4匹)

麻耶雄嵩著。徳間書店

青春、友情、熱気、成長…… 学園ミステリと聞いて思い浮かべること、 それらはすべて裏切られる! 常識破り絶対保証、後味のよさ保証なし。 これが麻耶雄嵩にしか書けない 学園ミステリだ!(紹介文引用)
 
七年ぶり?「化石少女」の続編が登場。
麻耶作品の中では再読を一度もしていないシリーズなので自分の記事だけざっくり読んでみたがそれほど気に入っていなかったらしい。なので気負わず、キャラクター設定だけを頭に入れて読んでみた。良家の令嬢だがテストは万年赤点、推理力だけは抜群の化石オタクまりあと、1年後輩でまりあの下僕の彰が織り成すおかしな学園ミステリー。
 
「古生物部、差し押さえる」
理科室で殺害された一年女子。問題があるのは目撃者か鍵か。校内地図を参照しながら動機と機会があった者をまりあが推理する。……が、彰が誤誘導。一話目から犯人の正体がとんでもない。
 
「彷徨える電人Q」
江戸川乱歩ですな。新クラブ棟九不思議にはバイク部の一つ目ロボットの怪があった。過疎化する古生物部活性化のためまりあは自分も不思議を捏造しようとするが、一階のトイレで男子生徒の他殺死体を発見。生徒は怪異どおりの赤マントをかぶっており。。
七不思議捏造の時点で^^;;動機も推理も納得のいくものだが正式な解決を見せないのは流れ通り。
 
「遅れた火刑」
白亜紀の新種の恐竜の化石を発見したまりあは、一躍時の人となる。変人の化石ガールから学園のスターとなったまりあ。そんな折、書道部で顧問が焼死体で発見される。
このあたりからまりあの推理力があやしい感じに。故意なのかどうか?
 
「化石女」
講義室で刺殺された二年女子が残したダイイングメッセージには、まりあを指摘するかのような「化石女」という血文字が残されていた。。まりあの推理が低迷。新部員の高萩の狙いもそろそろ胡散臭い。
 
「乃公出でずんば」
新クラブ棟の屋上で、恐竜部の女子が殺害されていた。その時刻、変装部部室で着替えをしていた彰の制服が盗まれる。被害者が着ていたのは彰の制服だった。。下品な横断幕と謎の探偵「片理めり」が登場する。着替えの理由があまりピンと来ないが(他に簡単な方法があるような)、もうこの作品集で大事なのはそこではない気がひしひしと。。
 
「三角心中」
学園裏のクスノキに愛染ロープを使う恋のおまじないが流行していた。そのクスノキで男子生徒が首をつり、女子生徒二人が男子とロープを結び合い死亡し…。なかなか練られた事件。だがそれよりも、高萩とまりあに起きていた”事件”に驚愕。
 
二年女子からもらったラブレターが盗まれたことから発生した殺人。文化祭でタイ飯部とのコラボが決まった古生物部だが目撃者がタイ飯部に所属しており。ここで麻耶さんらしいどんでん返し。引っ掛けそのものも十分サプライズとしては効果的なのだが、読後ウツになりそうな悪魔的真相が。。またやってくれた。
 
以上。
連作短篇集と言っても、それぞれ起きる事件自体にそれほど注力して読む必要はなさそう。。全ては最終話の大掛かりなトリックと世界崩壊のため。そもそも彰が前作で殺人者となっており、ペルム学園では毎月のように殺人事件が起き犯人が生徒であることが多い。というトンデモ世界でのミステリーなので、そこを好きになれるかどうかがキモかな。自分は前作よりは受け入れられた。〇〇〇〇役の奪い合い、なんて今までなくて面白いんじゃない。