すべてが猫になる

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疑惑の入会者/A Rogue's Company  (ねこ4匹)

アリスン・モントクレア著。山田久美子訳。創元推理文庫

戦後ロンドンで結婚相談所を営むアイリスとグウェン。ある日、アフリカ出身の入会希望者が現れる。流暢な英語を話す好青年だったが、一方で、グウェンの直感は彼の言葉が嘘だらけだと告げていた。さらにグウェンは自宅付近で彼に出くわし、つけられていると感じた。彼には結婚相手をさがす以外の目的があるのでは? 元スパイと上流階級出身、対照的な女性コンビに危機が迫る! (裏表紙引用)
 
ロンドン謎解き結婚相談所シリーズ第3弾。
前作がちと難しかったのでどうかな~と思っていたが、見事に持ち直した(私が勝手に前作を気に入らなかっただけとも言う)。
 
今回の入会者はライト・ソート結婚相談所初のアフリカ出身入会者。会員に白人しかいない相談所だが、アイリスとグウェンは彼の人柄を見染め入会を受け付ける。しかし嘘を見抜く能力に長けたグウェンが、彼の言葉の端々に嘘を感じ取った。彼の真の目的とは?アイリスたちは調査を開始する。
 
入会者ダイーレイの謎ももちろん面白いのだが、今回は上流階級出身のグウェンの義父がアフリカから帰ってきてしまったことで主な問題はグウェンの1人息子ダニーの養育権騒動となっている。この義父がもう男尊女卑差別主義のほんとに酷いやつで、読んでいる間中ずっとムカムカしっぱなし。妻のことも人間扱いしていないし。そんな義父と共にグウェンが誘拐されちゃったからもう大変。アイリスやアーチー、サリーらのおかげでなんとかなったけど、グウェンがおとなしくしているだけの女じゃないからますます大事件に。殺人事件やダイーレイがベインブリッジ家とどう結びつくのか?なかなか複雑でスリルもあって楽しませてもらった。ダニーは天使だね。アイリスとグウェンの女の友情も良かったし。
 
中編「机の秘密」も収録されていて、こちらもなかなか良かった。