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濱地健三郎の呪える事件簿  (ねこ3.7匹)

有栖川有栖著。角川書店

江神二郎、火村英生に続く、異才の探偵。大人気心霊探偵小説第3弾! 探偵・濱地健三郎には鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の刑事も秘かに足を運ぶほどだ。リモート飲み会で現れた、他の人には視えない「小さな手」の正体。廃屋で手招きする「頭と手首のない霊」に隠された真実。歴史家志望の美男子を襲った心霊は、古い邸宅のどこに巣食っていたのか。濱地と助手のコンビが、6つの驚くべき謎を解き明かしていく――。(紹介文引用)
 
濱地健三郎シリーズ第3弾。「まじなえる(呪える)」事件簿です。変換候補で「マジ萎える」と出て笑った。
火村アリスシリーズほどではまったくないけれど(そんな言い方せんでも)、濱地先生とユリエのコンビが素敵でまあまあ好きなシリーズ。今回は全編コロナ禍でお送りしている。
 
「リモート怪異」
ユリエのもと同僚らと開催されたリモート飲み会で、ある人物の後ろに子どもの幽霊を目撃したユリエだが…。
コロナ禍ならではの作品。ミステリ仕立てにもなっていてなかなか。口裂け女の話なども。
 
「戸口で招くもの」
婚約者といる時にだけ現れる、自分にしか見えない女性の幽霊は何者なのか。、という事件ととある田舎の使っていない別荘に現れた不審者と首と手首のない男性の幽霊の話。全部論理的に説明されるけど怪異だけはホンモノってところがこのシリーズの良さ。
 
「囚われて」
「タスケテ」という奇妙な電話が濱地の事務所にかかってくる。そしてユリエの彼氏(未満)のライター仲間に取りついた悪いものとは…。
勝手に解約する幽霊って面白いな。。自分がもし護符をもらったらソコに貼るのだけはやめよう。。
 
「伝達」
道路にロープを張られ自転車で転倒した男性。刑事の赤波江は、その被害者よりも見舞いに来る友人の窶れっぷりを懸念する。
赤波江の正義感が光る。ミステリーではなく怪談。
 
「呪わしい波」
古物商の男が日々痩せこけていくのを娘は見ていられず、濱地に依頼した。古物店では以前から立ち退きを迫られていたのだが…。
めちゃくちゃ腹立たしい連中だなあ。あの人、いい人だと思ったのに。「うちの先生」を怒らせると怖いんだぞ。
 
「どこから」
キャンプ場に現れる幽霊と、病院患者に取り憑いた謎の幽霊を退治。濱地先生が取り憑かれるなんてことがあるんだね。地下室ってのは怖いけどロマンがある。「どこから」がこの作品自体ではなく続編を思わせる言葉なのがいい。
 
以上。
怪談のようなミステリーのようなその中間のようなもの。基本的に、一つの短編で二つの怪異を退治する感じ。いつまでたっても年齢不詳の濱地先生は謎が多いな~。イケメンで紳士的で、霊感があるうえ論理的思考にも卓越しているっていう。事務所の電話番号も気になる。。ユリエが落ち着いていて大人で、少し「視える」けれど一般の人の感覚に近いから親近感が持てるんだな。第4弾がありそうだけど、有栖川さんはこのシリーズを気に入ってるのかな。
 
でも個人的には、小説でまでコロナ禍を意識したくない。。