すべてが猫になる

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俺が公園でペリカンにした話  (ねこ4.2匹)

平山夢明著。光文社。

おれは確かにろくでなしだが、親でも糞でも厭なもんは厭なんだ。 うるせえ! 自分のことは自分で決める! ……あんたもそうだろ? ヒッチを続ける〈おれ〉が出逢う、剥き出しの混沌ぐらぐら二十篇。 この虚構は、魂の急所に直でくる。平山夢明、異次元の真骨頂。(紹介文引用)
 
平山さんの新刊。約580ページに及ぶ、20編を収録した連作集。主人公はヒッチハイクをして町から町へ彷徨って暮らしている”ろくでなし”の「おれ」で統一されており、「おれ」が行く先々の町で出会ったとんでもなく糞な人々との交流(?)が描かれている。文章はいつもどおりの平山弁?が炸裂、現実の世界とリンクしているようなしていないような造語と暴力的でユーモアにあふれた作品。倫理観も常識もどこかに置いてきたような人々が女性も子どもも関係なく狂喜乱舞。確固とした「正常」を知っているからこそその逆張りができると思うので、平山さんの精神状態を心配したりはしない。
 
特に好きなのは犯罪被害者に稼いだ金を燃やさせる鬼畜の「ろくでなしと誠実鬼」、かつてAV出演をしていた子ども食堂の店員を糾弾した男が逆にやり込められる「命短し、乙女はカーマ・スートラだってよの巻」などなど。ひどい目に遭いっぱなしのものより、希望があったりリベンジできたりするものが好きかな。出したタイトルはこれでもかなりマシなものです。ははは。。