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invert 城塚翡翠倒叙集  (ねこ3.8匹)

相沢沙呼著。講談社

綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。 だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。 ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか? ミステリランキング五冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集!(紹介文引用)
 
※前作、本作共にネタバレあり
 
 
 
 
霊媒探偵・城塚翡翠シリーズ第2弾。
まさか続編が出るとはね。あの第1弾の衝撃があってなおどんな方法があるのかと怖いもの見たさでこちらも読んでみた。
 
うん、だいぶ読みやすくなった。元々相沢さんの文章があまり得意ではなくて、読みづらい&ミステリとして弱いという印象ばかり強かったのだけど、前者のほうはかなり払拭されているように思う。その分、翡翠ちゃんの萌えキャラに拍車がかかっていてネタを知っていてもイライラしたなあ。。やりすぎでは。。まあこの作品、実はそこではないのでいいけど。
 
一応どれもタイトル通り倒叙作品ばかりになっていて、まずエンジニアの男が自分の企画を横取りするプログラマーを溺死させる「雲上の晴れ間」では翡翠が颯爽と容疑者を追い込み、小学校教諭の女性が盗撮犯を撲殺し理科室のベランダから突き落とす「泡沫の審判」ではスクールカウンセラーに化け正義を説き、そして「信用ならない容疑者」では冷徹な探偵の男を度肝を抜く方法でやりこめる。三篇目だけはこのシリーズおなじみのサプライズが仕掛けられていてニヤリとしたかな~。(でも表紙でネタバレしてない?これ。なんとなく翡翠が2人いるな、で分かっちゃった)
 
トータル、読みやすくなったし総合的にはとても面白かったし好きなんだけど、「男は」「女は」が多用されるのと真と翡翠のじゃれあいが真の一方的な暴力なのが気になったなあ。それ以外はどんどん面白くなっていってるんじゃないかな。翡翠にはまだまだ秘密がありそうなのもいい。ほんとに霊感あったりして。