すべてが猫になる

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シーソーモンスター  (ねこ3.7匹)

伊坂幸太郎著。中公文庫。

バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。(「シーソーモンスター」) アナログに回帰した近未来。配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけに、ある事件に巻き込まれ、因縁の相手檜山に追われる。(「スピンモンスター」) 時空を超えて繋がる二つの物語。「運命」は、変えることができるのか――。創作秘話を明かすあとがき収録。(裏表紙引用)
 
8人の作家が、「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をいっせいに書く」という螺旋プロジェクトの1冊。たまたま以前薬丸岳さんの「蒼色の大地」を読んだことがあるので、なんとなく主旨は理解。前述した作品がそれほど面白いと思えなかったのと海族と山族がお互いに対立しあう内容とかあまり興味を持てないので説明はこんな感じで終わり。プロジェクトを理解していなくてもなんの問題もなく読める作品ばかりなのでご安心を。順番に全部読めば違う発見もあるんだろうけどね。なんせ題材がゴニョゴニョ。
 
「シーソーモンスター」
時代はバブル、昭和後期。製薬会社に勤める北山の家庭では、同居する母親と妻との<嫁姑戦争>に頭を悩ませていた。実は元情報員の妻が巻き込まれたある大事件。
嫁姑問題を良くも悪くも進行させながら、現役ばりのスパイ活動を余儀なくされる妻。家に殺し屋って^^;姑のほうにも秘密があって、力を合わせて夫、息子のために大暴れする2人がなんだか良かった。大団円にならないあたりもまた。
 
「スピンモンスター」
近未来。世界はアナログに回帰し、郵便配達員の水戸は世間を震撼させる大事件の容疑者とみなされ追われることになった。水戸を追う警察官・檜山は水戸の因縁の相手で、彼らは子ども時代に2人同時に家族を全て失っている。水戸は追っ手から逃れながら、人工知能ウェレカセリの暴走を止めなければならない――。
音楽グループγモコとか人工知能とか、色々噛み合わさってよく分からなかった。。絵本作家のあの人が出てきたりヒナタさんの正体が謎だったり、そういう小ネタは楽しめたが。
 
 
2作の中編集ってことでいいのかな。
読みやすく面白いのだけど、いつもの伊坂作品に比べてちょっと物足りなさが。。特に2編目なんてだからどうしたって感じ。テーマが枷になってたんじゃないかなあ。海族山族とか、いかにも伊坂さんらしい感じだけども。~~縛りっていうのも難しいもんだね。