すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

機長、事件です!  (ねこ3.8匹)

秋吉理香子著。角川文庫。

若きパイロット間宮治郎は、国際線デビューに胸を膨らませていた。だが初フライトを共にすることになったのは、厳しくて毒舌、変わり者で有名な美貌の女性機長、氷室翼だった。成田・パリ間の旅程ではトラブルが続発。往路では婚約指輪の消失事件が起こり、ステイ先では怪しげな連中に迫られ、ついには殺人事件にまで遭遇してしまう。氷室は持ち前の頭脳と観察力で事件の真相に迫るが!?ポップなトラベル&お仕事ミステリ!(裏表紙引用)
 
え、秋吉さん?と疑ってしまうような、コメディでポップな航空ミステリー連作集。
国際線デビューを果たす間宮治郎はよりによって毒舌変わり者、美貌の女性機長・氷室翼と搭乗することに。機内やフランスで起きる様々な事件を氷室機長が鮮やかに解き明かす~。
 
「氷の女王」
機内で起こった、乗客の婚約指輪盗難事件。こういうのも副操縦士が相手したりするのね。割とゆるい内容なのかなと思ったが結構ほっこり感動する結末だった。事件よりはパイロットのお仕事や飛行機薀蓄、説明が多かったが。
 
「クリニャンクール事件」
たどり着いたクリニャンクールでのステイ。そこで治郎が購入したブレスレットには不思議な力があって――。
人望がないと言ったら違うけど、人モテするわけでもない治郎に次々人が寄ってくる。モテているわけではないと合理的に一刀両断する氷室さんがなんだか面白い。割と真相は分かりやすいけど、パイロットならではの知識で事件を解決。
 
修道院の怪人」
ステイの続き。いざモン・サン・ミッシェルへ。だが観光中の間宮たちが巻き込まれたのは殺人事件で…。
マジで被害者は恨まれても仕方のないことをしたな。こんな偶然、本当はない方が良かった。
 
「機上の疑惑」
東京国際ピアノコンクールの実力者が突然苦しみ出して倒れた。彼女はライバルたちに何かを飲まされたのか?
氷室さんが頑なに原因が分かるまで酸素吸入をしなかったおかげで助かった命。色々な知識が必要な仕事なのだな。不運が重なった、と言えばいいのかな。多少の悪意は原因にあったと思うけれど。
 
以上。
軽いからこそ楽しめる。氷室キャプテンの冷徹だけどカッコイイ、だけどちょっと人間くさいところも良かったし、情に厚い治郎もなかなか。令嬢CA多岐川も良かったし、幸村の抜けた感じも悪くない。キャラクターがいいだけじゃなく、それぞれのお話も良かった。続編希望。