すべてが猫になる

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三四郎はそれから門を出た  (ねこ4匹)

三浦しをん著。ポプラ文庫。

「オシャレの追求に励むのは来世にまわし、今生では思うぞんぶん読書しようと思う。……世の中にこんなに本があるのに、顔なんか洗ってる場合じゃない」(文庫版あとがきより)筋金入りの活字中毒者・三浦しをんによる、抱腹絶倒、時に涙の読書(ブック)&文化案内(カルチャーガイド)新装版!(裏表紙引用)
 
しをんさんのエッセイが続く。だって面白いんだもん。
本書は今まで読んできたしをんさんの妄想エッセイとはひと味もふた味も違って、しをんさんがテーマに合わせたオススメの本を紹介しつつその本にまつわるエピソードや考えを綴っていくもの。普段の生活が寝る、読む、食べる、寝る、読む、読む、食事しながらでも読むというしをんさんのスタイルが存分に出た内容で、しをんさんの読書遍歴も知ることができ二度おいしい。ノンフィクションからSFからミステリーから純文学まで、読書の幅が本当に広い。紹介された本の中にはもちろん読んでみようかなと思えるものも多いが、それよりもしをんさんの常人離れした性癖?にぶっ飛び続けた。電車で隣合った人の読んでいる本のタイトルを盗み読み(分からなかったら拾ったワードからのちに検索し)、同じ本を買って読むのだ。それが二巻からであろうととにかく同じものを読む。そこには新たな出会いがあり、見識を広める役に立つ。
 
とはいえ読書というのは別に知識を広めたり何かの役に立てたりするものではなく、ただ好きだから読むのだ。胸を張って言い切る売れっ子作家の、「売れる前」に書かれたエッセイに秘められた言葉の暴力の数々(褒めてます)。その情熱にただただ笑い、胸打たれた。