すべてが猫になる

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図書室の死体/The Bodies in the Library  (ねこ3.7匹)

マーティ・ウィンゲイト著。藤井美佐子訳。創元推理文庫

わたしはイングランドの美しい古都バースにある、初版本協会の新米キュレーター。この協会は、アガサ・クリスティなどの初版本の収集家だった故レディ・ファウリングが設立した。事務局は彼女の住まいだった館にあり、図書室にはその膨大なコレクションが所蔵されている。そんな図書室で、ある朝、死体が発見された。被害者は、勉強会で館を使っていた、文芸サークルのメンバーで……。本を愛する人に贈る、ミステリ・シリーズ第1弾!(裏表紙引用)
 
タイトルに惹かれて読んだ本。ヒロインがミステリー専門初版本協会のキュレーターっていいなあと思ったのだけど、実はヒロインヘイリーは全くのミステリオンチ。クリスティもなにも1冊も読んだことがない設定らしく、それを知った瞬間ガッカリしてしまった。もちろん少しずつは読みすすめていくのだけど。まあだからこそ客観的視点で事件を追えるのかも、と思ってみたものの推理力のほうもそうでもない。ただ、洞察力とかひらめきは持ってる感じがする。ヘイリーはバツイチの子持ちで(子どもと別居)、今カレともうまくいってないあたり親近感も持たれやすいかも。
 
動機なんかは「そんなことで?」という印象は否めないものの、意外性があったし色々な人を疑っては容疑者から外していくスタイルがわかりやすかった。最初ノリ悪く読んでいても分からなくならないというか。こういう作風のミステリーって、キャラクターが命だと思うんだけどそこは合格点だなー。ヘイリーはもちろん、出だしから鼻持ちならなかった事務局長や刑事(ホップグッドだっけ?)が読み進めるほどにいい人になっていくのが良かった。新恋人候補のヴァルも今度こそはいい人そうじゃん?
 
最初ちょっとノリがしんどいな、登場人物も多すぎてノレないなと思っていたのだが、アメリカの作家さんだった。納得。シリーズものらしいけど、続編読むかどうかは迷うところだな。。なかなかエンジンがかからなくて読破に1週間くらいかかったので、合わないのかも。。「一人の人間がどうしてそんなに邪悪になれるんでしょう(ミス・マープル作品ぽい)」とか、「レースで本命を選ぶのが早すぎると、惑わされてしまうものです」とか、印象的な台詞多かったけどね。