すべてが猫になる

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仙台ぐらし  (ねこ3.8匹)

伊坂幸太郎著。集英社文庫

タクシーが、見知らぬ知人が、ずうずうしい猫が、多すぎる。タクシー運転手が嘆く不景気の元凶は何か、喫茶店で執筆中にやたらと話しかけてくるおじさんは誰なのか、どうすれば自分の庭に猫が糞をしなくなるか。仙台に暮らす心配性の著者が、身の回りで起きたちょっとおかしな出来事を綴る。2005年から2015年までに書き溜められたエッセイ集。短篇小説「ブックモビール」も収録。(裏表紙引用)
 
大ファンの伊坂さんのエッセイにも手を出してみた。あまりエッセイには食指が動かなかったのよね、「いい人そう」だから。でも読んでみたらさすがあの小説やあの小説を描いた伊坂さん、常人とは少し違った。心配性すぎる性格は意外だったけど、これぐらい想像力がないと小説家にはなれないのかも、と思った。声をかけてくるファンに対して自分の自意識過剰だと責めるあたりも繊細で面白いし。あまり仙台ぽさはなかったけれど。
 
仙台、伊坂さんと言えばやはり震災について語る部分が多いのだろうと思っていたが、ご本人の意向もあってか強い想いに反してサラリと描かれている印象。「ブックモビール」という短篇のほうがその意思は反映されているように感じる、やはり小説で真価を発揮する方なんだと思う。