すべてが猫になる

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灼熱  (ねこ3.8匹)

秋吉理香子著。PHP文芸文庫。

医者である英雄と一見、幸せな結婚生活を送る絵里。しかし彼女は本当の名前を咲花子といい、英雄が元夫を殺した証拠を探していた。 一年半前、咲花子は刑事から当時の夫が転落死したこと、何件もの詐欺を働いていたことを知らされる。詐欺師の妻として彼女自身もマスコミに叩かれる中、夫殺しの容疑者だった英雄の不起訴が確定。 希望を失った彼女は、自殺サイトで知り合った絵里という女性と自殺を試みるが、咲花子だけが生き残ってしまう。咲花子は絵里の個人情報を使って身分を変え、英雄に復讐することを決意するが…… 復讐に生きる女性の情念を描いた愛憎のミステリー!(紹介文引用)
 
久しぶり(そうでもないか?)に秋吉さんを。まだ少し未読が残っている。
秋吉さんらしいどんでん返しのあるドロドロ劇でなかなかに面白かった。短いけど。
 
絵里は整形し名前を変え、最愛の夫忠時を殺し無罪となった男・英雄の妻になった。夫を殺した証拠を見つけ出し復讐するために。しかし誠実な英雄に次第に惹かれてゆき…。
 
愛していない男の妹の介護なんてそうそうできることじゃないと思う、妹亜希子とも気が合うし慕ってくれているし、英雄は優しいし(医者だし?)、これで復讐心を保っていられる方が難しい。英雄が犯人じゃないといいな、このまま幸せになれればいいなと思っていたけれど、まさか思わぬ真相が。。英雄の人柄から考えてちょっと理解しがたいな、という行動があったりあの人物ももう少し冷静な人かと思っていたけれど。でもこれから最善の人生を歩めればいいと思う。多少陳腐な展開はあるにはあれど(英雄に色仕掛けで近づくところとか)、ページをめくる手が止まらない作品だった。