すべてが猫になる

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坂の上の赤い屋根  (ねこ3.8匹)

真梨幸子著。徳間文庫。

わたしが人殺しになったのは、この街のせい――。 人格者と評判も高かった夫婦が、身体中を切り刻ま れコンクリート詰めされて埋められた。実の娘と、 その恋人によって……。その残虐性から世間を激震 が走った『文京区両親強盗殺人事件』から18年後。 事件をモチーフにした小説が週刊誌で連載されるこ とになる。そこで明らかになる衝撃の真実とは!? 真梨ワールド炸裂! 極上のイヤミス長篇。 あなたは騙される快感を知る。(紹介文引用)
 
高校生の娘が、恋人と共謀して実の両親を殺害しバラバラにした遺体をコンクリート詰にして捨てるという前代未聞の凶悪事件。主犯の男には死刑判決が下され、娘のほうは無期懲役となった。18年後、轟書房が刊行する「週刊トドロキ」でその<文京区両親強盗殺人事件>を取材し連載することが決まったが――。
 
当時の関係者や死刑囚本人にインタビューを重ねるなどして殺人者のみならず彼らと関わったゲスい人々の本性をむき出しにする安定の真梨さんらしいスタイル。女を利用するだけ利用するホスト崩れや死刑囚と獄中結婚する法廷画家、過去の栄光が忘れられない編集者など、読んでいるだけで過激で面白い。いつものようにどんでん返しと騙しがあることは分かっていたが、いつもの作品よりは控えめ。全然こんがらがらないしこれぐらいが爽快。<血まみれなのに、読後感爽快>。