すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ツナグ 想い人の心得  (ねこ3.8匹)

辻村深月著。新潮文庫

僕が使者(ツナグ)だと打ち明けようか――。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めての迷いが訪れて……。心揺さぶるベストセラー、待望の続編!(裏表紙引用)
 
映画化もされた「ツナグ」の続編。
だいぶ内容忘れていたので、設定や<ツナグ>役の歩美や杏奈のことなどを復習しながら。前も出てきた、ん、だよね・・・・?
では順番に。
 
「プロポーズの心得」
特撮俳優のゆずるは、同じ女優の美砂に告白するも人生で初めてフラれてしまう。美砂が過去に親友を亡くしていると知り、代理でツナグに依頼をするが…。ついでみたいに会ったことのない父親を指名したり色々いい加減でイラっとするところ、全部父親ゆずりなんだなー。<その後>のオチも含めて、いい感じで2人とも変わって行けそうで良かったと思う。
 
「歴史研究の心得」
歴史上の人物、上川兵満に会いたいと依頼してきたのは80代の元国語教師。上川には合わない歌を詠んだ意図や戦に民を出さなかった真意などがミステリーとなっている。こういうのって、たとえ理想と違ってもなんでもいいんだろうな。方言や時代の言葉の問題もあるからか、2人の会話シーンなどは描かれず。
 
「母の心得」
娘を海の事故で亡くした夫婦と、病気で亡くした母親。今回の依頼はふた組。関係があるわけではないのにふた組登場させた理由はやはり最後ふた組が出会って言葉を交わしたことに意味があるから?
 
「一人娘の心得」
歩美が世話になっている工房の大将が突然亡くなった。失意に暮れる歩美だが、工房の一人娘奈緒から意外な相談を受けて…。死者に会って話を聞くことだけが全てではないんだなあ。個人的には死者に会えるって現実的に考えたらそんな制度があっていいとは思わないので、辻村さんはそこのところもきちんと分かってるなあと。
 
「想い人の心得」
若い頃慕っていた料亭のお嬢様に会いたいという85歳の老人。ひねりなくまっすぐにキレイなお話。少しぐらいお嬢様も蜂谷を好きでいてくれたら良かったなあ。これはこれでいい関係だとは思うけども。
 
以上。
前作ほどではなかった気はするが、どれも面白かったと思う。好みとしてはあまりこういうキレイなというか感動系って好きじゃないんだけども。人気はありそう。まあ木工の世界の魅力なんかも伝わってきたし、辻村さんだから読めるって感じだったな~。