すべてが猫になる

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図書室で暮らしたい  (ねこ4匹)

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辻村深月著。講談社文庫。

偶然グアムで見つけた、わが家のラインナップとそっくりな本棚。単行本を上下巻とも詰め込んで壊してしまったお気に入りのリュック。高校生の時にドキドキしながら友達と行った、憧れの作家のサイン会。辻村深月の見ている世界は、“好き”で鮮やかに彩られている。宝石のような掌編を集めた珠玉のエッセイ集。(裏表紙引用)
 
辻村さんのエッセイを初めて読んだ。小説は文庫で全て読んでいるのだが、エッセイには手をつけていなかった。元々エッセイをあまり読まないというのが理由にあるが、このところトシのせいか頭を使う本を読むのがキツくなってきた。好きな作家さんのエッセイにもこれからどんどん手を出して行こうかな。
 
2013年から日本経済新聞 夕刊 プロムナード で連載されていたものをまとめた本らしい。6ページほどの様々な題材のエッセイがたくさん収録されていて、やはり印象に残ったものは多かった。綾辻さんの大ファンで、100通ものファンレターを出していたことは知っていたが、小野不由美さんの「屍鬼」の重さでカバンが壊れた事をファンレターに記し、お会いした時にそれを覚えていてくれていた事など面白いエピソードがたくさん。元々才能のあった方のようで(当然だが)、学生時代の友人には直木賞を受賞したことを驚かれなかったのだとか。文才はもちろんだが、気持ちの強さも大事なんだなあと痛感した。自分にも負けない本や漫画などへの思いはあるつもりだが、辻村さんや桜庭さんのお話を聞くと圧倒されることも多々。「好き」も才能の一つだ。
 
ファンとしては辻村さんのお人柄の素晴らしさを再確認することにもなった。教育実習でのジャイアンの話や保育士さんとの会話やそれで感じたことなどを読むと、辻村さんの場合はいい人の周りにはいい人が集まる、の典型のような気がする。こういう人にペンを持たせると無敵だな。いいエッセイだった。前作の「ネオカル日和」も早速手に入れた。楽しみ。