すべてが猫になる

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私の命はあなたの命より軽い  (ねこ3.5匹)

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近藤史恵著。講談社文庫。

東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。だが、実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。不穏な空気が流れる実家で、出産への不安と家族への不信感があふれ出る……そして明らかになっていく家族を襲った出来事とは――。(裏表紙引用)
 
久しぶりに近藤さんを読もうと思って、適当に面白そうかなというタイトルのものを選んだのだが…。ちょいと失敗しちゃいましたかな。。短いお話なのだけど、読後どっしりずっしり。。なんてイヤな話なんだ。。
 
主人公の遼子が里帰り出産のために実家に帰ったらなんだか家族がギスギスしていて…妹の同級生が自殺したらしい…両親が買ったばかりの家を売ろうとしている…などなど、不穏すぎる出来事。まあ、だいたい予想していた通りのことに輪をかけてさらに酷いことがあったという感じ。
 
内容はともかくとして、元々仲の良い家族だったんでしょ?遼子がもっと真剣に、ちゃんと「そこへ座れ!」とでも言って全員の話を聞くべきだったよ。家を出たとはいえ長女に話す義務はあるよねえ。話し合わないと分かるわけない。現代の人って要領よく差し障りない関係を築くのは上手だけど、一回トラブると「しっかり話し合う」これができない気がする。この作品を読んで再確認したことといえば、まあ、あまり他人を過大評価しないことだね。。遼子は人を見る目がないのかな?あの夫、いずれ碌でもないことがバレそうな気がする。そういうラストだよねえ。。