すべてが猫になる

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平凡すぎて殺される/A Man With One of Those Faces  (ねこ3.8匹)

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クイーム・マクドネル著。青木悦子訳。創元推理文庫

28歳のポールの特徴は“平凡すぎる”顔だ。病院を慰問し、彼を自分の身内と思いこんだ老人たちを癒す日々を送っている。ある日、末期ガンの老人を見舞うと、錯乱した彼に誰かと間違えられてナイフで刺されてしまう。その患者は悪名高い犯罪者で、ある有名な誘拐事件の関係者だった。警察に衝撃が走る一方、ポールはさらに爆弾で命を狙われた。身を守るには逃げながら誘拐事件の真相を探るしかない。巧みな構成が光るノンストップ・ミステリ!(裏表紙引用)
 
アイルランドミステリー、かな?雰囲気的にはドン・ウィンズロウなんかに近いような。それに独自のブラックジョークを足したかんじ。視点は主人公のポール&看護師ブリジット、捜査するスチュアート&ウィルソン両刑事のふたつ。ストーリーだけを知るなら、登場人物紹介と最後の100ページだけ読めば理解はできる。複雑なようで事件そのものは単純。人間関係や個々のパーソナルな部分を掘り下げているので、そこを楽しめないとキツいかも。笑いも多く文は読みやすい。
 
ただね、ポールは<平凡>ってことになってるけど、とてもそんな感じではない。生い立ちも複雑だし、やってることは反社なのかなって感じだし。。少なくとも、1人の<善良>な青年が事件に巻き込まれた、っていうわけではないかな。だからこそキャラも立ってて面白いんだけどね。続編も出たら読むかな。<平凡>を売りにしながらキャラが立ってる、って褒めてんのか貶してんのか。