すべてが猫になる

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墜ちていく僕たち  (ねこ3.7匹)

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森博嗣著。集英社文庫

ある日突然、男が女に、女が男に変わったら…?神出鬼没の摩訶不思議なインスタント・ラーメンが巻き起こすミステリアスな五つの物語。生まれてからずっと男でいつづけるのも、女で一生終わるのも、人間ってけっこう楽じゃない。性に悩めるあなたも、悩んだことなんて全然ないあなたも、さあ、そんな綱渡りのような固定観念を捨てて、性差の呪縛ものりこえて、新しい自由な世界へようこそ。(裏表紙引用)
 
森さんのノンシリーズ連作短篇集。
テーマは男女の入れ替わり。「墜ちていく僕たち」ではインスタントラーメンを食べた後男が女になり、「舞い上がる俺たち」では同人漫画家の女たちが男になり、「どうしようもない私たち」は死んでしまった女が今までの男性遍歴を語り出し、「どうしたの、君たち」では1話目の登場人物を覗き見していた男の視点であの騒動が語られ、「そこはかとなく怪しい人たち」ではビジュアル系バンドの追っかけの女性がボーカルに見初められたと思ったら暴力事件が。。という、一見あまり繋がりがなさそうなお話が繋がったような繋がらなかったような曖昧さで収録。「どうしたの、君たち」だけは明確だったかな。あとはテーマが共通しているだけでふわふわした感じ。
 
前半はVシリーズのれんちゃんが語ってるみたいなキャラクターばかり続いてアイタタな感じだったが(森さんって、こういう語り口の若者しか描けないのだろうか?とか言って)、だんだん三人称視点の読みやすい感じになってくる。最後まで読めばまあ面白くはあったが、初めて森博嗣を読む人にはさらにわけわからんだろうなあ、と同情する。