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のぞきめ  (ねこ3.5匹)

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三津田信三著。角川ホラー文庫

辺鄙な貸別荘地を訪れた成留たち。謎の巡礼母娘に導かれるように彼らは禁じられた廃村に紛れ込み、恐るべき怪異に見舞われる。民俗学者・四十澤が昭和初期に残したノートから、そこは“弔い村”の異名をもち“のぞきめ”という憑き物の伝承が残る、呪われた村だったことが明らかとなる。作家の「僕」が知った2つの怪異譚。その衝撃の関連と真相とは!?何かに覗かれている―そんな気がする時は、必ず一旦本書を閉じてください。(裏表紙引用)
 
映画化もされた、三津田さんの民俗ホラー作品。
 
角川ホラーだから読みやすいかな?と思っていたのに、怪奇小説作家が怪談話に耳を傾けるいつもの序章でつまずいてしまい、なかなか読み進められなかった。まあこれもいつものことだが読み方の難しい人名・地名が多かったのもキツい。(いつも思うのだが、難読漢字には毎回フリガナをつけてもらえないだろうか)まあでも三津田さんのホラーは安定して怖いのでなんとか読了。
 
さて第一部が貸別荘にバイトに訪れた4人の若者たちが、行ってはいけない道を通ったため恐ろしい体験をする「覗き屋敷の怪」。ベッドの上から覗く黒い顔だのなんだのそれはそれは怖いシーンの数々に震えおののいた。
 
第二部は民俗学者四十澤(あいざわ)の視点から見た「終い屋敷の凶」。巡礼の母娘に村人がした仕打ち、そしてその呪い。考察、推理がメインとなっている章で、第一部と合わせて読むと意外な繋がりが。昔の人ってお話だとやっぱりなんか悪いことやってるイメージ。
 
まあ登場人物もそうだけど、読者のほうも余計なことに首を突っ込むから痛い目にあうんだよ、という作者のメッセージがメタっぽくて余計に怖い。もちろんこれを読んだって誰かに覗かれたりはしないんだけども、こういう遊びは嫌いじゃないかな。