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アルファベット荘事件  (ねこ3.9匹)

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北山猛邦著。創元推理文庫

雪が舞う岩手県の山奥、アルファベットのオブジェが散らばる『アルファベット荘』に招かれた個性的な面々。だが招待者は現れないまま、夜は更けていく。翌朝、「創生の箱」の中で招待客が屍体となって発見される。しかし死体を運ぶために通ったはずの中庭には足跡は無くて……? 売れない役者、変人にして小劇団の看板女優、そして何も持たない探偵が奇妙な屋敷の幻想的な事件を解き明かす。当代きってのトリックメーカー・北山猛邦、幻の長編!(裏表紙引用)
 
長らく絶版になっていた、北山さんの初期長編。これ気になってたんだよね。このたびめでたく創元から復刊ということで。
 
初期作品ということもあるのか、作者のもともとの作風なのか、ラノベのようで大変読みやすかった。なんといっても、登場人物のほとんどが何らかの探偵、っていう(笑)。
語り手の未衣子が主人公ではあるが、超絶美人なのに本性はズボラで変人という看板女優美久月や過去の記憶がなく感情もないという不可能犯罪専門探偵(これが実質探偵役)ディ、何者か分からないがミステリアスで美男の春井など、全員主人公かっていうくらいキャラが立ってる。。ちなみに他にも色々います。芸術専門探偵とか賞金稼ぎカップルとか。シリーズにしなかったなんてもったいない。
 
物理トリックの北山さんと呼ばれるそのとおりの作品で、リアリティのまったくない物理トリックが冴えまくる。ツッコミどころ満載だが、絵を想像したら笑えるので面白い。ちゃんとタイトルに意味があるしね。それに加えて、プロローグがエピローグと繋がったり、別で起きた名古屋バラバラ事件と繋がったりと色々詰め込んでいて最後まで楽しめた。
 
あまりネタは割れない読書ブロガー泣かせの作品だが、北山ファンや本ミスファンにはオススメ。