すべてが猫になる

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見知らぬ人/The Stranger Diaries  (ねこ3.7匹)

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エリー・グリフィス著。上條ひろみ訳。創元推理文庫

これは伝説的作家の短編の見立て殺人なのか? ――イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の教師をしながら、ホランドの研究をしている。ある日、クレアの同僚が自宅で殺害されてしまう。遺体のそばには“地獄はからだ"と書かれたメモが残されていたが、それはホランドの幻想怪奇短編「見知らぬ人」に繰り返し出てくるフレーズだった……。作中作が事件を解く鍵となる、2021年海外ミステリ最高の注目作! 英国推理作家協会(CWA)賞受賞作家が満を持して発表し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長編賞受賞へと至った傑作!(紹介文引用)
 
初読み作家さん。なんとなくピンときて。
 
主人公の英語教師クレア、部長刑事ハービンダー、クレアの娘ジョージアの3人が語り手となって交互に展開していく構成。舞台はイギリスの中等学校タルガースで、この学校は19世紀の怪奇作家ホランドがかつて住んでいた邸宅だった。そしてある日人気美人英語教師エラが自宅で殺害され、クレアの日記にはホランドから引用した謎のメッセージが次々と書き込まれる。そして第二の殺人が…。
 
信頼できない語り手という前提で読んだ。クレアの本心は隠されているかもしれないし、ハービンダーは刑事ながらもタルガース校のOGだから何か関係あるかもしれないし、ジョージアは子どもながらも何か事件に関連しているかもしれないし。そういう風な視点で読むと誰が犯人であっても煽りのような驚きはないかもな…と思いながら。登場人物の行動や言動が鈍感だったり、危機感が薄かったりするので長ったらしいのが欠点。ホランド小説の引用も挟まるし(これは必要不可欠だが)、やたら海外ドラマなどの注釈が挟まるので読むリズムを崩される。この内容ならもう少し短くても良かったんでないの(500ページ強、かなり疲れた)。
 
まあそういう感じで読んでも一応この犯人や動機には驚いたので結果OKかと。しかしいうほど斬新さも意外性もなかったかな。全員を疑うスタイルのミステリーなのでキャラクターや内容については触れられないが、まあかと言ってそこまで気をつけるほどの真相でもなかったり。犬のハーバートはカッコ良かったよ。