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哀愁しんでれら  (ねこ3.8匹)

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秋吉理香子著。双葉文庫

ただ幸せになりたかったはずだった―― 市役所の児童福祉課で働く咲良は、8歳の娘・カオリを男手ひとつで育てる開業医の孝太と出逢い、結婚。 誰もが羨む幸せな家庭を手に入れた。 しかし、「理想の家庭をつくる」という咲良の願望は知らぬ間に自身追い詰め、次第に家族の歯車を狂わせていく……。(裏表紙引用)
 
映画「哀愁しんでれら」の原案で、「もう1人のシンデレラ」という企画の小説らしい。映画は未見なので比べられないが、こんな強烈なイヤミス映画絶対に観たくない~~と思わせる過激な内容だった。
 
主人公の咲良は家庭にも男にも恵まれず、児童福祉士として日々シンデレラに憧れ過ごしていた。やがて出会った理想の男と結婚したが、現実はシンデレラとは真逆に不幸まっしぐら。地獄の日々を生きる咲良が最後に決断した行動は――。
 
前半に出てきた、出産祝いを返品すると面と向かって言う友人や働かず浮気をするカッコだけのバンドマン、皿を下げることすらしない家族が全く記憶に残らないぐらい後半の展開がキツい。夫となった男の、結婚してからの変貌ぶりや連れ子の悪魔ぶり。いやいや、ちょっと頭おかしいだろう。。リアル通り越してバカバカしいレベル。今まで何の問題もなかったのに、唐突感すごい。いやもう、これ読んでられないな、というぐらい不快な内容(でも面白い)だったので、結末のぶっ飛びぶりにも冷静でいられた。まあ、冒頭で匂わせてるしね。
 
一気読みできる面白さなんだけど、イヤミスもここまでいくと制限なくなってくるんだなあと妙に納得。