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沈黙のパレード  (ねこ4匹)

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東野圭吾著。文春文庫。

静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で草薙が逮捕し、無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。町のパレード当日、その男が殺された―― 容疑者は女性を愛した普通の人々。彼らの“沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑む!(裏表紙引用)
 
文庫新刊デタ!と即買いし、ガリレオシリーズだと知って歓喜。湯川さん、アメリカ行っちゃったからしばらくシリーズ読めないのかと思っていたのだ。思わず本を撫で回す。
 
さて、今回の事件は、23年前に幼女殺害事件で無罪となった男が、3年前に行方不明いになっていた女性が遺体で発見された事件で逮捕されるもまた釈放され、その後男は変死体で発見されるという内容。女性の遺族や深い関係者たちが容疑者となり、全員があの男を真似るように沈黙を貫く。最初から事件関係者は判明しているが、誰がどの役割を担ったのか、手を下したのは誰か、幼女殺害事件との関連は、などのあらゆる謎が立ちふさがっている。トリックはガリレオらしい物理的なもので、メインはトリック暴きではない印象。誰からも好かれた天才少女や愛らしい幼女を理不尽に失い、そこから人生がめちゃくちゃになってしまった彼らを正面から責めたくはない。最後にどんでん返しがあるが、そちらの方の犯罪動機についてはちょっと過去に戻って一旦落ち着けと言いたくなったが…。
 
それにしても最近の湯川先生は随分と丸くなった気がする。調査のためとは言え、食堂の常連になって店員や常連客らと率先して歓談するなんてイメージ狂うなあ。いや、こういう湯川さんも素敵だけどね。そしてファンなら誰しも萌えたであろう湯川さんの「親友」という台詞に悶絶した。最後の最後にやってくれるなあ、東野さん。