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東野圭吾公式ガイド 作家生活35周年ver.

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東野圭吾作家生活35周年実行委員会 編。講談社文庫。

著作100冊目前、全世界で一億部を突破! 日本で、世界でその人気を誇る東野圭吾。 ミステリーもファンタジーも、シリアスもコメディも、すべてをベストセラーにしてきた大人気作家の35年間は挑戦の連続だった。 25周年版公式ガイドに新作の自作解説を加え、貴重なロングインタビューを収録した決定版!(裏表紙引用)
 
東野さんの作品は、エッセイ以外の文庫をすべて読破している。ので、かなり熱心なファンと言っていいと思う。基本的には本格ミステリ畑の人間なもので声を大にして公言する機会も自覚もそれほどなかったのだが、この公式ガイドを読んでいるうちに改めて凄い作家だという気持ちが湧き上がって来た。最初、べるさんのところで興味を持って図書館予約し、早速廻ってきたのでいそいそと読み始めたのだが…全作品自作解説を読んでいるうちに、これはやばい、サラっと読み捨てる本ではない、手元に置いて貴重な資料として保管しておくべきだと読むのを中断し、本屋に買いに行った。再読祭りの時に絶対役立つなと思って。
 
東野さんが最初は全く売れなかった作家だということは知っていた。自分の読書熱が最も高かった時代に登場した作家さんだから、我々本格ミステリ派の人種から(当時はそっちが主流だったのだ)東野作品がどういう目で見られていたのかも肌で知っている。かくいう自分も、気まぐれに読んだ「十字屋敷のピエロ」が期待ハズレで、その1冊で見限ってしまった経験がある。なぜまた読み始めたのかというと、東野作品が話題になり始めたから。その話題になっていた「秘密」も「白夜行」も自分的にはハズレで(石投げないで下さい)、おかしいな、どれだったら合うんだろう?と手当たり次第話題作に手を出した。本当に東野さんを好きになったのはその後ぐらいかな。どの作品たちだったのかはのちのランキングで。
 
まあそういう自分の東野遍歴も含めてこのガイドを熟読していると、あの作品やあの作品も、試行錯誤のすえ自信を持って世に出した作品だったんだなあと申し訳ない気持ちになったり。そして本を読まない人々が読んでも楽しめる作品を、という徹底したエンタメ気質に東野さんのプロ根性を見た。意外な、と言っては失礼すぎるが、もっと斜に構えた方だと思っていたのだ。直木賞が獲れなくて腐っていた時期などの話はなんだか懐かしいなと思う。今でこそ知らない人はいないベストセラー作家だが、100人に1人しか読んでいない計算になる、という謙虚な姿勢もあり、猫やスノーボードを愛する可愛らしさもあり、東野さんの普段は見られない人間らしさに触れることもできて良かった。
 
このガイドの順番通りに再読祭りしたくてたまらなくなってるんだけど、今別の作家さん再読祭りしてるから(と言っても月1、2冊ペースだけど)いつになるやらだなあ。。それとも読みこぼしてるエッセイ読んじゃうかな。。
 
ガイドの巻末に、ファンによる好きな作品ランキングが掲載されていた。まあ、順当という感じ。映画化された作品がやはり強いね。便乗してわたくしのランキングでお目汚し。↓
1「手紙」
2「新参者」
3「容疑者Xの献身」(原作というより映画)
4「時生」
6「パラレルワールド・ラブストーリー」
8「変身」
9「マスカレード・ナイト」
10「むかし僕が死んだ家」