すべてが猫になる

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アンと愛情  (ねこ3.7匹)

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坂木司著。光文社。

成人式を迎えるアンちゃん。大人になるには、まだ早い気がするけど、それでも時間は進むし、世の中は待ってくれません。おいしいおやつを食べて、前を向いて。さあいきましょう。デパ地下から着物売り場、催事場に金沢旅行。少しずつ拡がる世界。さらに深くなる和菓子の謎。お待たせいたしました。たっぷりお召し上がりください。(紹介文引用)
 
「和菓子のアン」シリーズ第3弾~。前作から5年ぶりぐらいかな。相変わらず美味しそうな和菓子の表紙が読者を迎えてくれている。ああおまんじゅう食べたい。
 
さて我らのアイドルアンちゃん、本作で成人式を迎えます。5年空いてるせいか、ま、まだ二十歳なの...と驚くばかり。進まない…時間進まない…笑。
 
「甘い世界」
宇宙モチーフのお菓子を探し求める外国人のお客さんの謎を解くとともに、振り袖市に赴くアンちゃんたちの様子が楽しめる。似合う色、柄と好みって一致しないんだなあ。親がピンクや赤を着させたいって気持ちはなんか分かるな(経験ないけど)。若い頃しか着れない色ってあるから。
 
「こころの行方」
時はバレンタイン。アンちゃんの勤める「みつ屋」でも1階催事場への出店が決まった。催事に慣れた若手の応援、ということで仕事のバリバリできる桐生さんと催事場へ入ったアンちゃんだが、失敗だらけ。すっかり落ち込んでしまうが…。話の行き先の見当はつくものの、桐生さんが気付いたアンちゃんの「催事では短所、売場では長所」でなんか涙出ちゃったよ。。私だってデパ地下の和菓子屋なら、アンちゃんみたいな店員さんとゆっくり選びたい。でもセール場なら桐生さんみたいな人にテキパキやって欲しい。ところで化粧品売り場はなぜ1階にあるのか?問題、私は一般的に化粧が社会人の入口だから、だと思ってるけどね(必ずしも全員がそうではないが)。
 
「あまいうまい」
お友達らと金沢旅行へ出かけるアンちゃん。そこでもお菓子食べまくり、お土産にしまくり。アンちゃんらすごいな、私友だちと旅行行って一人行動ってようせんわ。。柏木さんの実家がやっているお店に行ったアンちゃんだけど、柏木さんのお兄さんと一モメ。これはまあ、お互い失言しちゃってる感じ。というか、柏木さんとお兄さんの前回の一件、を全然覚えていないのでイマイチ分からなかった。。
 
「透明不透明」
派手でチャラチャラした男子大学生のお客さん。想い人へ贈ったお菓子がことごとく失敗して……。その想い人、いくらかけさせる気?と最初イラっとしたが、真相を知ったらなんだか脱力というか、ああ、それならじゃれあいみたいなものだねと納得するあたり何かに感化されてるなあ。。私も本わらび100%のわらび餅たべたーい。
 
「かたくなな」
アンちゃんの大好きな椿店長の様子がどうもおかしい。心配なアンちゃんだが、あるサラリーマン男性客にせんべいについて間違った接客をしてしまい。。。デパートとかで偉そうに女性店員に威張ったり怒鳴ったりしてる男性嫌いだなあ、、と思って読んでいたが、このお客にも色々あるようで。ちゃんと誠意を持って話をすれば、悪人なんてそうそういないんだなあ。でもこの展開、書店ガールにもあったような。普段誰も自分の相手なんて真剣にしてくれないのにここの店員さんは優しくてついワガママ言っちゃいましたっていうパターン。
 
以上の5篇と別で、「冬を告げる」「豆大福」の2篇も収録。おまけみたいなものかな。可愛いお話。
 
第3弾ともなると失速しちゃうのか、「こころの行方」以外はそれほど熱く読めなかったかも。。ミステリー的にはお菓子の謎を解いているだけな気が。いや、お菓子は相変わらずとても美味しそうでたまらないのだけどね。アンちゃんっていくらなんでも恋愛ゴトに鈍すぎない?とか色々気になっちゃって。こんなんじゃ立花さんも当分報われないと思う。。ちょっとぐらい強引に行かないと、椿店長にアンちゃん取られるぞ。