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カメレオンの影/The Chameleon's Shadow  (ねこ3.8匹)

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ミネット・ウォルターズ著。成川裕子訳。創元推理文庫

アクランド英国軍中尉はイラクで爆弾によって頭に重傷を負い、片目を喪失する。病院での彼は他人に触れられると暴力的になり、看護師たちを戸惑わせていた。退院後、彼はロンドンに住み始める。だがアクランドともめた高齢の男がその後に何者かに襲われ、彼は警察に拘束される。近隣では、3人の独り暮らしの男性が殴殺される連続殺人が起きていた。アクランドはその事件にも関係しているのか――?〈現代英国ミステリの女王〉の筆が冴え渡る最新傑作!(紹介文引用)
 
2020年本ミス7位作品。
 
舞台はロンドン。イラクで頭部と顔面に重傷を負ったアクランド中尉(26歳)は、元々外交的な好青年だった。しかし手術後はちょっと触れただけで激高し攻撃的になる内省的な反逆者に変貌。ドクターらは原因を究明しようとするが、やがてアクランドは連続殺人事件の容疑者として尋問されることに――。
 
まあ主人公の性格の悪いことよ……。両親にも元婚約者にもご近所さんにも口を開けば罵詈雑言、手も出すので(殺しかけるレベル)同情の気持ちは完全に失せる。。失恋もしていたようだし、何やら心にふか~~~い傷と秘密があるようなので、まあそれが判明するまではほんとに憎たらしかった。。元婚約者もアホっぽいしなんだかな~~~面白いけどなんだかな~~と思って読んでいたら、見た目アーノルド・シュワルツェネッガー似のボディビルダー女医(レズビアン)という凄いキャラ出てきた笑。これが一応アクランド側なので、色々説教してくれたり突き放してくれたりして物語に色がついて良かったかなーと。路上生活者のチョーキーや、家出不良少年のベンなんかもかなりキャラが立ってる。犯人の正体や動機自体はつまらないものなので、この作品が評価されているのはミステリー部分ではなくて人間ドラマのほうだな、ということがわかる。ラストのジョーンズ警視やジャクソンとの語らいはしんみりきた。色々あったんだな、君…。
 
ただ、めちゃんこ長い。。どんなに面白くてもこんだけ長いとちょっと飽きてくる…。
でもまあやはりミネット・ウォルターズはハズレがないのでまた読むでしょう。「遮断地区」がずっと気になってる。