年齢不詳の探偵・濱地健三郎には、鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。新宿にある彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の強面刑事も秘かに足を運ぶほどだ。助手の志摩ユリエは、得技を活かして、探偵が視たモノの特徴を絵に描きとめていく―。郊外で猫と2人暮らしをしていた姉の失踪の謎と、弟が見た奇妙な光景が意外な形でつながる(「姉は何処」)。資産家が溺死した事件の犯人は、若き妻か、懐具合が悪い弟か?人間の哀しい性が炙り出される(「浴槽の花婿」)など、驚きと謀みに満ちた7篇を収録。ミステリの名手が、満を持して生み出した名探偵。待望のシリーズ、第2弾!（紹介文引用）
濱地健三郎シリーズ第２弾。「幽」は「かくれ」と読むらしい。
心霊もの+本格推理ということで前作は割といいじゃない、ぐらいの評価だったかな？すごく良くもないが悪くもないという。シリーズを重ねるとキャラ同士の関係が深まったり理解が追いついたりするので、この第２弾のほうが愛着もって読めた気がする。実際出来も良かった。
「ホームに佇む」
名古屋の食品会社社長が事務所を訪れ、有楽町駅が怖いと告白する。ホームに佇む少年の正体とは。。濱地さんの解決法が生活感あってなんだか和む。ホっとするラスト。
「姉は何処」
大地震発生後行方がわからなくなった姉。弟は毎晩同じ時間に姉の幻影を見るが…。亡霊の動きから犯人を突き止める濱地さんがカッコイイ。ラスト怖すぎ。。
「饒舌な依頼人」
タイトル通りの良く喋る依頼人。語り口調が怖いよ。。変則的なお話かも。可哀想な霊ではあるけれど、成仏したと信じたい。
「浴槽の花婿」
新婚の夫が浴槽で死亡。事故とみなされたが、夫の弟は新妻の犯行を疑い…。どんでん返しがミステリっぽくていい。被害者の気持ち云々じゃなく、犯罪は裁かれる。
「お家がだんだん遠くなる」
毎晩幽体離脱を経験する女性。身体は必ずどこかへ引っ張られているようだが…。霊といえど、こういう女性の敵には同情できない。濱地さん、本気で怒ったしね。
「ミステリー研究会の幽霊」
高校のミス研に転校生が入部した。以来おかしな現象が…。。哀しい現実だけれど、ミス研のみんながなんだか優しくてほっこりする。
「それは叫ぶ」
ある日「汚れた布のようなもの」に接触してから夫の精神がおかしくなった。拝み屋を呼んでも効果がない…。通行人にぶつかってくる人や道路にロープを張る輩など、現実にある悪意。まさかそんなところにも、と愕然とする。濱地さんの正義感がいい。
以上。
７編収録されていて、どれもお話は短め。あっさりしているようだが割とどのお話も様々な印象を残す。ドラマ化しても良さそう。志摩さんのキャラも立ってきたし（彼氏がいるのがちょっと残念）。第３弾が楽しみ。
